昨年度において、in situ RCA-FISHによってnxrB遺伝子を保持する微生物の蛍光標識に成功した。そこで今年度は蛍光標識した微生物を選択的に分離、同定を試みた。まず、in situ RCA-FISHによって標識した蛍光標識をセルソーティングシステム(FACS)で識別できるかを検討した。コントロールとしてnxrB遺伝子を保持するNitrospira sp. ND1株を使用した。In situ RCA-FISHによって蛍光標識したNitrospira sp. ND1株を超音波処理によって緩やかに分散し、回収した。回収したNitrospira sp. ND1株をFACSに供試し、蛍光標識に基づいて解析した。蛍光強度が高いエリアからソーティングを行い、観察を行った。しかしながら、蛍光顕微鏡による観察を行った結果、蛍光標識されているNitrospira sp. ND1株は確認されなかった。蛍光標識したNitrospira sp. ND1株がソーティングされない原因として、in situ RCA-FISHで蛍光標識したNitrospira sp. ND1株を超音波により回収する際に、蛍光プローブの乖離が考えられる。そこで、FACSによる回収は困難であると考え、レーザーマイクロダイセクションシステム(LMD)による回収に切り替えた。 上記のin situ RCA-FISHで蛍光標識したNitrospira sp. ND1株をLMDにより、回収を試みた結果、メンブレンフィルターをレーザーにより切り取ることに成功した。しかし、LMDで回収する際に直径約50μmの大きさで回収するため、目的のin situ RCA-FISHで蛍光標識した微生物以外の微生物も回収してしまう。したがって、LMDによる微生物の回収、同定も困難であった。
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