群生相バッタの黒化誘導ホルモン、コラゾニンの下流で機能する転写因子を同定し、Loctと名付けた。LoctにはLong型とShort型が認められ、ツーハイブリッド法や共免疫沈降法による解析で、Long間、Short間で相互作用が観察された。Loctのノックダウンは群生相の黒い体色を茶色に変化させたが、形態的特徴のF/C値は典型的な群生相のままであった。Loctに加えて、メラニン化関連因子Yellowや、Takeoutファミリーに属するAltoもコラゾニンの下流で機能し、これらは皮膚で強く発現していた。コラゾニン以外に他の因子がこれらの発現誘導には必要であることが判明した。これらの結果をまとめて、コラゾニンシグナリング経路のモデルを提唱した。 次いで、サバクトビバッタ終齢幼虫の黄色を制御するタンパク質としてYPT遺伝子を同定した。YPTタンパク質は先行研究において、成虫期黄化を制御する密度依存的および性依存的なタンパク質であるとされていたが、本研究により、密度や性非特異的に幼虫期で機能していることが判明した。温度や環境色が幼虫期YPTの発現量を制御し、バッタの体色に影響を与えていることが明らかになった一方で、幼若ホルモンやコラゾニンなどのホルモンもYPTの発現量に影響を与え、体色を制御していることを示した。 バッタの飼育の過程でフンにバッタの産卵抑制成分が含まれていることが判明した。本成分は水溶性で熱に強い特性を持ち、植物由来である可能性が明らかになった。また、バッタが孵化する際には、卵塊中の各々の卵が同調し、2段階のメカニズムで制御されていることが判明した。
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