ヒト新規免疫受容体CD300Hの機能を in vitroにおいて解析し、ヒト生体内における役割を明らかにする。昨年度はCD300Hのリガンドを探索するためのツールとして、CD300Hの細胞外部位とヒトIgGのFc部位を融合させたキメラタンパク質を樹立・使用しメンブレンにプロットされた脂質Xに強い結合を示すことを明らかにした。今年度はCD300Hの生理的役割を明らかにするため、脂質XがCD300Hの機能的なリガンドであるかの検討を行った。 CD300Hと脂質Xの物理的な結合を明らかにするため、ELISA法による検証を行った結果、予想に反してCD300Hキメラタンパク質は脂質Xに対する特異的な結合を示さなかった。 また、脂質Xが細胞上のCD300Hを刺激してシグナルを伝達するか検討するため、CD300Hレポーター細胞を用いた実験を行なったが、プレートコートした脂質XはCD300Hレポーター細胞のGFP発現を誘導しなかった。以上の結果から、CD300Hキメラタンパク質はメンブレン上の脂質Xに結合を示すものの、脂質Xは機能的なリガンドではないことが明らかになった。 次にCD300Hレポーター細胞を用いてリガンドのスクリーニングを実施したところ、マクロファージ細胞株であるRAW264.7細胞をLPSで刺激するとCD300Hリガンドが産生されることが明らかになった。CD300分子群は脂質を認識する受容体群であるため、CD300Hのリガンドも脂質である可能性が高いが、本年度で同定には至らなかった。
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