研究課題
【背景と目的】インフルエンザウイルスは、 (-)鎖1本鎖RNAをゲノムとして持つエンベロープウイルスである。A型およびB型インフルエンザウイルスのゲノムは8本に、C型およびD型ウイルスのゲノムは7本に分節化されており、各RNA分節は、それぞれ核タンパク質(NP)とRNA依存性RNAポリメラーゼと結合し、ribonucleoprptein(RNP)と呼ばれる棒状の構造物を形成する。これまでに、80%以上のA型およびB型ウイルスが8本のRNPをウイルス粒子に取り込むことが報告されている(Nakatsu et al., mBio)。一方で、7分節のゲノムしか持たないC型およびD型インフルエンザウイルスのウイルス粒子が何本のRNPを取り込むのかは明らかになっていない。そこで本研究では、C型およびD型ウイルス粒子内に取り込まれるRNPの本数を明らかにすることを目的とした。【結果】電子線トモグラフィーにより、C型ウイルスおよびD型ウイルスのウイルス粒子内に取り込まれたRNPを解析したところ、7分節ウイルスであるD型およびC型ウイルスでも、A型およびB型ウイルスと同様に8本のRNPを取り込んだウイルス粒子が70%以上存在していることが明らかになった。残りのウイルス粒子は、7本のRNPを取り込んでいた。【本研究の重要性】ゲノムが7本に分節化されたC型およびD型ウイルスでも70%以上のウイルスが8本のRNPを取り込んでいたことから、インフルエンザウイルスは、型や株によらず、8本のRNPをウイルス粒子内に取り込む可能性が示唆された。これにより、幅広いウイルス株のゲノムパッケージング機構をターゲットにした新規抗ウイルス薬の開発が期待される。
28年度が最終年度であるため、記入しない。
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EBioMedicine
巻: 17 ページ: 182-191
10.1016/j.ebiom.2017.03.007
mBio
巻: 7 ページ: e01248-16
10.1128/mBio.01248-16