研究課題
植物の主要な窒素源である硝酸イオンの吸収や代謝は、鍵転写因子であるNLPファミリーによって制御されている。これまでに、NLPは硝酸シグナルにより活性化されることで下流の遺伝子発現制御を行うことが知られていたが、その分子実体は不明であった。報告者が所属する研究グループにおける先行研究により、そのNLPの活性化には硝酸シグナルの伝達に応答した特定のアミノ酸へのリン酸化が必要であることが示唆されていた。昨年度までに、nanoLC-ESI-MSを用いた解析を行い、先行研究によって示されていたものと同一のセリン残基がリン酸化されているペプチドを同定していた。また、それと並行してこのリン酸化を実行するキナーゼとしてCPKファミリーのメンバーを同定していた。これらの結果から、硝酸シグナルによるNLPの活性化メカニズムの詳細を明らかにすることができた。本年度は、これらの結果を合わせた内容の投稿論文を発表するに至り、植物栄養の分野に大きなインパクトを与えた。また、上記研究と並行して、リボソーム生合成に着目した研究も実施してきた。糖誘導性の核小体タンパク質APUM24が、リボソームRNA (rRNA)前駆体の成熟に必要であることを突き止めるとともに、apum24ノックダウン変異体は糖依存的にrRNA前駆体の成熟が滞り、それによりリボソームストレス応答や糖への過剰応答を引き起こすことを明らかにした。これらの結果をまとめ、リボソーム生合成と糖応答、そしてリボソームストレスの三者をつなぐ新しい概念を提示し、それを投稿論文として発表するに至った。
29年度が最終年度であるため、記入しない。
すべて 2018 2017 その他
すべて 国際共同研究 (2件) 雑誌論文 (3件) (うち国際共著 1件、 査読あり 3件) 学会発表 (4件) (うち国際学会 1件) 備考 (2件)
Plant Signal Behav.
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http://www.a.u-tokyo.ac.jp/topics/2017/20171222-1.html
https://plantae.org/ribosome-production-under-surveillance/