受精を司るＪｕｎｏ－Ｉｚｕｍｏ１複合体の構造解析

2015 年度 実績報告書

• 研究課題/領域番号: 15J08403
• 研究機関: 東京大学
• 研究代表者: 森田 純子 東京大学, 理学系研究科, 特別研究員(DC1)
• 研究期間 (年度): 2015-04-24 – 2018-03-31
• キーワード: X線結晶構造解析

研究実績の概要

本研究では哺乳類において受精を司るタンパク質について、X線結晶構造解析によってタンパク質複合体の立体構造を決定し、その認識のメカニズムを解明することを目的とする。
本年度は哺乳類由来Junoの細胞外ドメインおよびIzumo1の細胞外ドメインについて複数のタンパク質発現系の検討と構築、また結晶化スクリーニングを行った。それぞれにタンパク質についてバキュロウイルスによるタンパク質の大量発現系であるSf9細胞を用いた発現が可能であることを見出した。さらに大腸菌発現系および哺乳類細胞発現系を検討し、いずれの系からも目的タンパク質が発現可能であることを見出した。大量培養・発現を行ったのち、それぞれのタンパク質について結晶化に適した高純度に精製することに成功し、得られた精製産物を混合して結晶化することにより、タンパク質複合体の結晶化スクリーニングを行った。現在はより結晶化に適したタンパク質を得るためそれぞれのタンパク質について発現コンストラクトの改良を行い、またより効率的な結晶化スクリーニングを行うため、発現量の向上を目的とし、さらなる発現系の検討を行っている。
さらに申請者は本年度までの研究でコリン特異的ホスホジエステラーゼであるマウス由来Enpp6のX線結晶構造を決定し、Enpp6が脊椎動物に保存されたコリン結合ポケット構造によりコリンを特異的に認識することを明らかにした。本研究成果はScientific Reports誌に掲載された。

現在までの達成度 (区分)

1: 当初の計画以上に進展している

理由

Juno-Izumo1複合体についてはJunoおよびIzumo1の発現系を確立し、結晶化を行ったため、計画通りに進展している。加えて現在までに進めてきたEnpp6のX線結晶構造解析を完了し、論文として発表したため、計画以上の進展があった。

今後の研究の推進方策

これまでに構築した複数の発現系を用いてタンパク質を調製し、結晶化・構造解析を行う。

研究成果

• [雑誌論文] Structure and biological function of ENPP6, a choline-specific glycerophosphodiester-phosphodiesterase (2016)
  • 著者名/発表者名: Junko Morita,Kuniyuki Kano, Kazuki Kato, Hiroyuki Takita, Hideki Sakagami, Yasuo Yamamoto, Emiko Mihara, Hirofumi Ueda, Takanao Sato, Hidetoshi Tokuyama, Hiroyuki Arai, Hiroaki Asou, Junichi Takagi, Ryuichiro Ishitani, Hiroshi Nishimasu, Osamu Nureki and Junken Aoki
  • 雑誌名: Scientific Reports 巻: 6 ページ: 1-14
  • DOI: 10.1038/srep20995
  • 査読あり / オープンアクセス
• [雑誌論文] Structural basis for specific inhibition of Autotaxin by a DNA aptamer (2016)
  • 著者名/発表者名: Kazuki Kato, Hisako Ikeda, Shin Miyakawa, Satoshi Futakawa, Yosuke Nonaka, Masatoshi Fujiwara, Shinichi Okudaira, Kuniyuki Kano, Junken Aoki, Junko Morita, Ryuichiro Ishitani, Hiroshi Nishimasu, Yoshikazu Nakamura and Osamu Nureki
  • 雑誌名: Nature Structural & Molecular Biology 巻: 印刷中 ページ: 1-9
  • DOI: 10.1038/nsmb.3200
  • 査読あり