研究課題/領域番号 |
15J08427
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研究機関 | 東京農工大学 |
研究代表者 |
吉野 寛之 東京農工大学, 大学院工学府, 特別研究員(DC1)
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研究期間 (年度) |
2015-04-24 – 2018-03-31
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キーワード | 余剰汚泥減容化 / 活性汚泥法 / 微生物群集制御 |
研究実績の概要 |
本年度は、埼玉県中川水循環センター(流域下水処理場)のばっ気槽上部の屋内に設置した高圧噴射装置を組み込んだ2 m3規模のパイロットスケールの高度活性汚泥処理リアクター(高圧噴射装置付き1基と高圧噴射装置を設置しない対照系の1基)の運転を中心に行った。高圧噴射装置を導入して運転を行うことにより、汚泥の可溶化がおこり、その結果、約80%の余剰汚泥の減容化を確認し、また高圧噴射装置による溶存成分の除去性能に差は見られなかった。しかし、両系ともに窒素除去率は40%未満と低い値を示しており、運転の最適化が必要であることが示唆された。また、溶存成分の処理に影響がなかった一方で高圧噴射装置の導入によって処理水中の浮遊粒子が増加してしまう問題が見られた。これはこれまでに1 m3規模のパイロットスケールリアクターを用いて標準活性汚泥法で同様の実験を行った際の結果と同等の結果であり、運転の再現性が確認できた。よって次年度以降は具体的に処理水中の浮遊粒子を除去する必要があり、フィルターの導入や凝集剤の添加の必要性の検討が必要であることが明らかとなった。 運転期間における微生物の群集構造の変化を経時的に追跡した結果、高圧噴射装置の導入により真核生物、原核生物どちらともに大きな変化が見られた。昨年度の結果より、高圧噴射装置による真核生物、原核生物の破壊は選択的に起こることが明らかとなっており、本年度の結果と組み合わせて今後のさらなる検討を行うことにより微生物群集を制御できる可能性が示唆された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本年度は、パイロットスケールの高度活性汚泥処理リアクター(高圧噴射装置付き1基と高圧噴射装置を設置しない対照系の1基)の運転を中心に行っており、その結果、約80%の余剰汚泥の減容化を確認し、また高圧噴射装置による溶存成分の除去性能に差は見られなかった。一方で処理水中の浮遊粒子が増加してしまう問題が見られた。これはこれまでに1 m3規模のパイロットスケールリアクターを用いて標準活性汚泥法で同様の実験を行った際の結果と同等の結果であり、運転の再現性が確認できた。 運転期間における微生物の群集構造の変化を経時的に追跡した結果、高圧噴射装置の導入により真核生物、原核生物どちらともに大きな変化が見られており、高圧噴射装置の導入が微生物群集の変化に大きく寄与していることが示唆された。
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今後の研究の推進方策 |
これまでの結果から高度処理における高圧噴射装置の汚泥減容化に対する有効性が明らかになっており、今後は真核生物の捕食に着目した汚泥減容化メカニズムの明確化や回分試験による高圧噴射装置導入による微生物の群集の制御の可能性に対して積極的に取り組む。 また、パイロットスケールリアクターの運転においては次年度以降は具体的に処理水中の浮遊粒子を除去する必要があり、フィルターの導入や凝集剤の添加の必要性の検討が必要であることが明らかとなった。
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