研究課題/領域番号 |
15J08599
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
稲森 貴一 東京大学, 理学系研究科, 特別研究員(DC1)
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研究期間 (年度) |
2015-04-24 – 2018-03-31
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キーワード | RNA-seq / 左右軸形成 / ノックダウン / in situ hybridization |
研究実績の概要 |
昨年度同定した4または9体節期のクッペル胞上皮で右と左で発現量に差があるものについてRT-qPCRによって発現差を確認した。また昨年度同定した野生型とabc変異体との間で発現量に差があるもののうちクッペル胞特異的に発現している遺伝子を同定することで候補遺伝子を絞り込んだ。さらにこれらのうち左右軸形成への関与の可能性が高いものを選び出し、その遺伝子のノックダウン実験を、モルフォリノオリゴを1細胞期のメダカ胚にインジェクションするという手法で行った。これを25条件計2017個のメダカ胚に対して行った。そしてノックダウンの結果左右逆位の表現型が出るかを確かめることでその遺伝子が左右軸形成に関与しているかを確かめた。その結果egfl6という遺伝子が現在着目している左右軸形成に関与している可能性が示唆された。 また先に述べた候補遺伝子のin situ hybridizationを行うことでその遺伝子の発現を確かめた。野生型の左右で発現が異なることが示唆された遺伝子では、in situ hybridizationでも左右差が見られることが期待されたが、発現が弱いものが多く、本来は発現領域を可視化するための手法であるin situ hybridizationでは左右の発現差を見出すことはできなかった。しかし多くの遺伝子においてクッペル胞上皮での発現が示唆される発現パターンを得ることができた。 そしてここまでに述べた結果の大部分をまとめて11月14日から11月17日に開催されたthe 22nd International Congress of Zoology(一部は国内学会である動物学会とのジョイント学会)でポスター発表を行い複数の参加者から今後の研究の展望や結果の解釈に対してフィードバックを得ることができた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
ノックダウン実験においてほとんどの条件において左右逆位の表現型が観察されず、期待していたよりも多くの遺伝子を調べることとなったため、想定していた以上にノックダウン実験に時間がかかり次の段階へ移ることができなかったため。もっとも結果的に候補を得ることはできたという点は進捗として評価できるが、まだその結果が正しいかの検証は済んでおらず具体的な解析に取り掛かることができておらずこの点において予定よりも進捗が遅れているため。
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今後の研究の推進方策 |
得られた候補遺伝子に対して遺伝子発現や局在を調べることで左右軸形成へどのように関与しているかの仮説を立てるとともに、ノックダウン実験を継続して行うことで他の候補を得る。今回得られた遺伝子は機能があまり知られていないため他の生物のデータ等も考慮して左右軸形成への関与を明らかにしていく。また候補遺伝子の解析が進めなかったときのことを考慮してさらなる候補遺伝子の探索も並行して行う。
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