研究課題
本研究では、遺伝子順序や遺伝子コード配列の多様性を情報量として利用した、メタゲノムショットガンリードデータの新規解析手法を開発することを目標としてきており、その実データ取得のため、本年度は実際の環境中の細菌叢サンプリングを対象に、PacBioシーケンサを用いたショットガンシーケンスを行ってきた。実験的な制約や微生物生態学的なインパクトという観点から、様々な環境サンプルを検討した結果、本研究では日本最大の湖である琵琶湖の淡水環境の微生物叢を対象にした。微生物サンプリングはすでに昨年度に完了しており、本年度はDNA抽出とサンプル調製、およびCircular Consensus Sequencing (CCS)法によるショットガンシーケンスを行った。シーケンスの結果、高い塩基配列決定精度(>97%)をもつCCSリードを計約30万本取得できた。データ解析を行う中で、リード数やリード長の制約のため本研究課題で提案していた解析手法を実証することが困難であることが予見されたため、研究の方向性を修正し、得られたデータを用いて環境微生物のDNAメチル化に関するデータ解析を行うことにした。ゲノムアセンブリとビニングの結果、複数のドラフトゲノムを得られ、その大半は難培養性で琵琶湖に優占している細菌種に由来していることが予想された。さらにこれらのゲノム中から、新規のものを含む複数のメチル化モチーフを検出し、対応するメチル化酵素(MTase)遺伝子を推定できた。これらの予測された関係性のうち、今まで文献等で報告されたことがない新規の関係性が示唆された4組に関して、大腸菌を用いた実験系で対応関係を実証することができた。本研究は、難培養性微生物が優占する環境微生物のDNAメチル化を菌株網羅的に検証した先駆的な解析例を提供するものであり、現在原著論文を投稿準備中である。
29年度が最終年度であるため、記入しない。
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巻: - ページ: 1-9
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