研究課題
本年度はまず,「受容体に対する結合親和性を高めるとCry毒素の毒性も高まるはずである」という作業仮説を検証した.カイコガABCC3およびコクヌストモドキABCC4Aに対してCry毒素は非常に高い結合親和性を示し,「結合親和性の高低」と「受容体発現培養細胞の細胞傷害の高低」は概ね相関した.Cry毒素はABCトランスポーター以外にも複数の受容体分子が報告されているが,結合親和性の高低と受容体機能の高低に相関が認められるCry毒素受容体は,ABCトランスポーターが初めてである。すなわち,このことはABCトランスポーターがCry毒素改良のためのタンパク質工学の標的分子としてふさわしいことを示唆した.さらに,ABCトランスポーターのCry毒素に対する特異性は,細胞外ループのアミノ酸残基によって決定されることを明らかにした.つまり,Cry毒素の結合性を高めるにはこの細胞外ループ領域を標的とすればよいことが示唆された.次に,「ABCトランスポーターに対して結合親和性の高まったCry毒素変異体の選抜」を試みようとしたが,難溶性の膜タンパク質であることもあり,ABCC2の大量調製のための条件検討に時間を要した。したがって,これを用いたタンパク質工学の実施には至らなかった.しかしながら,本研究の最終目的である「人為的な改変による有効なCry毒素の創出」は,結合解析によって理論的基盤が得られたこと,および受容体タンパク質の大量調製が可能になり実験系がほぼ構築されつつあることによって,当初よりもかなり現実味を帯びたものとなった.
28年度が最終年度であるため、記入しない。
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FEBS Letters
巻: 591 ページ: 56-64
10.1002/1873-3468.12506
Peptides
巻: 印刷中 ページ: 印刷中
10.1016/j.peptides.2017.04.003
Biochimica et Biophysica Acta
巻: 1865 ページ: 220-231
10.1016/j.bbapap.2016.11.011