本研究では、ゲノム中に存在する核酸高次構造であるG-quadruplex (G4)に着目し、新規アプタマー探索法の開発及びG4結合タンパク質とG4の生体内相互作用の解析を目的に研究を行った。 これまでに標的タンパク質の遺伝子プロモーター領域中からG4構造形成可能なDNA配列を同定することによるアプタマー探索法(G4 promoter-derived aptamer selection (G4PAS))を開発している。一方で、G4構造はゲノムDNAのみでなく、pre-mRNA中にも多数存在する知見から、G4形成RNA配列においても同戦略によるアプタマーの探索を試み、血管内皮細胞増殖因子(VEGF)及び血小板由来増殖因子(PDGF)に結合するアプタマーを取得することに成功した。 RNAアプタマーの探索では、生体内に存在し得るG4形成RNA配列とVEGF、PDGFの相互作用をin vitroで示した。これらの因子の生理機能への関連を評価するため、抗VEGF抗体を用いた免疫沈降を試みた。本年度は、ヒト臍帯静脈内皮細胞を用いて実験条件の検討を行い、RNA沈降を確認できた。次に、免疫沈降産物を逆転写後、VEGF遺伝子特異的なプライマーを用いてPCR増幅することでVEGFタンパク質が自身の遺伝子と相互作用するかの検討を試みた。定量PCRでの評価ではVEGF遺伝子の増幅は見られなかったが、今後マイクロアレイあるいは次世代シークエンサーにより網羅的に解析することでVEGFが相互作用するG4形成領域を同定可能であると考えられる。
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