研究課題/領域番号 |
15J08714
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
野田 晋太朗 東京大学, 情報理工学系研究科, 特別研究員(DC1)
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研究期間 (年度) |
2015-04-24 – 2018-03-31
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キーワード | 受動歩行 / クラッチ / ブレーキ / 能動歩行 / 能動受動歩行 / 省エネルギー歩行 / 動力学シミュレータ / バネ機構 |
研究実績の概要 |
28年度は,1. 拘束解放可変機構を備えた等身大脚型ロボットの設計発注,2. 機構を用いた歩行行動生成制御ソフトウェアの開発を行った.
1. 前27年度に開発した拘束解放可変機構試験機を実ロボットへと適用するさいの課題を洗い出すため,試験機の制御ソフトウェアの開発と制御実験を行いロボットに求められる電力や制御周期を評価した.27年度の機構ではブレーキ機構とクラッチ機構を同じ仕組みで併せ持つ機構を開発したが,ブレーキ機構を市販のものに置き換えることでさらなる小型化を行った.さらに拘束解放可変機構を両足の太もも関節・膝関節の計4関節に有する等身大脚型ロボットの設計発注を行った.拘束解放可変機構のブレーキ・クラッチ機構以外への応用として,上半身付きの受動歩行ロボットに必要とされる体幹支持のためのバネ機構が脱着可能となるよう設計を行った.バネ機構の脱着により,バネが脚の駆動域を阻害したり内力を生じたりといった課題を解決することができることは能動軸と受動軸を合わせもつロボットに重要な機能である.
2. クラッチ機構を利用することで,能動軸のみを用いた通常の歩行である能動歩行に加え,能動軸と受動軸の切り替えを用いる能動受動歩行,受動軸とバネ機構を用いる受動歩行が可能になる.その行動生成制御を行うための方法として,動力学シミュレーション上での施行錯誤探索を行うソフトウェアを開発し,それを用いて上記三種類の歩行行動生成制御が可能となることを確認した.また,歩行のエネルギー効率を評価することで拘束解放可変機構を用いた受動歩行が,それを用いない能動歩行と比べてよりエネルギー効率良く実現できることもシミュレーション上で確かめられた.以上の結果を実ロボットで実現するためにはシミュレーションと実機の誤差を埋める努力が必要であるが,高速に動作を評価可能なシミュレーション環境はそのすり合わせに有効である.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本28年度の計画通り,拘束解放可変機構を備えるロボットの設計発注と,受動歩行を始めとする歩行行動生成制御ソフトウェアの開発を終えることができたため.
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今後の研究の推進方策 |
29年度は,開発した脚型ロボットを用いて実際に受動歩行や能動歩行を実現することを目標とする.現在脚型ロボットは部品が届いた段階で,これから組立配線等の作業を行いロボットの完成を目指す.次に動力学シミュレーション上で確認した歩行動作を実ロボットで行い,シミュレータでの挙動と一致するようすりあわせていく作業が必要である.最後に,脚型ロボットでの歩行評価実験を行い,拘束解放可変機構を用いることで歩行のエネルギー効率の改善が起こることを確認したい.
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