研究課題/領域番号 |
15J08765
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
坂東 宜昭 京都大学, 情報学研究科, 特別研究員(DC1)
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研究期間 (年度) |
2015-04-24 – 2018-03-31
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キーワード | ブラインド多チャネル音声強調 / 自己位置推定 / ロボット聴覚 / 統計的信号処理 / マルチモーダル信号処理 |
研究実績の概要 |
ホース型レスキューロボットのロボット聴覚機能実現のために、本年度は以下の2つの研究を進めた。 (1) ロバスト主成分分析に基づく移動マイクロホンアレイのブラインド多チャネル音声強調 声を手がかりに瓦礫に埋もれた被災者を捜索するには、ホース型レスキューロボットの駆動雑音の抑圧が不可欠である。本研究では、ロバスト主成分分析(RPCA)に基づく音声や雑音に関する事前情報が不要な音声強調法を開発した。RPCAは単チャネル音響信号のための音声強調法で、事前情報を用いずに非定常雑音と音声を分離できる。災害現場で想定される音声が比較的小さい環境での頑健性を向上させるために、複数のマイクロホンにRPCAを個別に適用し、その各抑圧結果について共通成分を抽出する手法を開発した。ロボットの走行雑音の実録音を用いた評価実験において、従来の単チャネルのみを用いる手法に比べて性能が向上した。 (2) マイクロホンと加速度センサを用いたホース型レスキューロボットの姿勢推定 瓦礫環境下でホース型レスキューロボットを効率的に操縦するためには、 本ロボットの3次元姿勢推定が不可欠である。瓦礫環境下ではGPSや地磁気センサといった絶対座標情報が得られるセンサが使用できない。そこで本研究ではホース型ロボットに装着した複数のマイクロホン、スピーカ、および加速度センサを用いた姿勢推定法を開発した。マイクロホンとスピーカから得られる音の到達時間差情報は周囲の瓦礫の影響で誤差が生じることがあるが、外れ値除去によって瓦礫の影響を軽減し、欠損した姿勢情報を加速度センサから得られる傾き角度情報で補完する。木片を用いた模擬瓦礫環境において、3mのホース型ロボットの姿勢を先端位置誤差が20cm以下の精度で推定できた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
ホース型レスキューロボットを瓦礫環境下で使用するための聴覚機能と操縦補助機能の重要な要素技術(音声強調・姿勢推定)の開発が順調に進捗しているため。また、これらの成果は主要な査読付き国際会議での発表も行われているため。
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今後の研究の推進方策 |
音声強調については瓦礫による局所的な音声レベルの低下への対応、姿勢推定についてはジャイロセンサとの統合による推定精度向上を行い、瓦礫環境下での頑健性を高める。また、これらの要素技術を用いて得られた情報の可視化インターフェースの開発を行う。
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