研究課題/領域番号 |
15J08830
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研究機関 | 東京農工大学 |
研究代表者 |
斎藤 昌幸 東京農工大学, 農学研究院, 特別研究員(PD)
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研究期間 (年度) |
2015-04-24 – 2018-03-31
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キーワード | 都市 / タヌキ / 個体追跡 / 食性 |
研究実績の概要 |
今年度は、文献やインターネットを用いて都心部におけるタヌキの分布情報を収集し、その情報をもとに調査地を検討し、タヌキの追跡調査と広域における糞の採集をおこなった。 追跡調査においては、まずGPS発信機(首輪)がタヌキの追跡調査に適用可能かどうかを確認するために、2015年12月に東京農工大学構内にてタヌキ1頭を捕獲し、その個体を対象に予備的な追跡調査をおこなった。野生哺乳類への発信機の装着においては、体重の5%以下にすること(5%ルール)が推奨されているが、捕獲されたタヌキは5.18kgの個体であったため、発信機の重量は体重の5%以下となった。2015年12月16日から2016年2月17日まで追跡調査をおこない、合計1921点の位置情報を得ることができた。また、追跡終了後に発信機を回収することにも成功した。この予備調査によってタヌキの追跡調査にGPS発信機が適用可能であると判断されたことから、都心部に位置する東京大学小石川植物園にて捕獲したタヌキ2頭に対して個体追跡を実施している。 食性分析については、都市化とタヌキが利用する餌資源の関係を明らかにするために、都心部から郊外にかけて分析に用いる糞の採集をおこなった。2015年11月から2016年3月までの間に、都心部(東京都23区内)においては、東京大学小石川植物園(文京区)、武蔵高校中学(練馬区)、代々木公園(渋谷区)などから計110個の糞を採集し、都心部以外の地域では、東京農工大学府中キャンパス(府中市)、長池公園(八王子市)、蓮生寺公園(八王子市)などから計185個の糞を採集した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
タヌキの追跡調査にGPS発信機が適用可能であると判断され、現在は、都心部にて捕獲したタヌキ2頭に対して個体追跡を実施している。また、食性分析に必要な糞のサンプル数も順調に集まっている。
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今後の研究の推進方策 |
現在GPS首輪を装着しているタヌキの個体追跡を引き続きおこなうとともに、予備調査で得られたデータの詳細な行動解析をおこなう。秋期以降にタヌキの捕獲をおこない、個体追跡をおこなうことで都市景観におけるタヌキの行動について明らかにする。また、食性の季節変動を考慮するために、引き続き糞の採集をおこなう。同時に、冬季に採集した糞を対象に糞分析をおこない、都市化とタヌキの冬季食性の関係について解析する。
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