本年度は、小惑星探査を高効率化・高精度化することを目標とした小惑星形状、運動状態、探査機位置等の自動推定アルゴリズムについて、昨年度までに開発した基本的なアルゴリズムをもとにして、アルゴリズムのさらなる効率化をはかった改良などを施したうえで、実際の小惑星探査での使用に向けた性能評価やインタフェースの整備などを行った。特に、シミュレータを用いて生成した小惑星の模擬画像をもとにして複数の性能評価実験を行い、いずれの場合でもおおむね合理的な推定結果が得られることを確認した。特に、探査機がある一定の範囲にとどまり小惑星のなるべく多くの部分を観測しようとするフェーズ(ホームポジションにおけるフェーズ、小惑星探査初期)を模した状況についての実験では、上記の小惑星形状、運動状態、探査機位置を画像列からほぼ自動的に合理的な時間(標準的なラップトップで1時間程度の計算時間)で推定できることを確認した。また、探査機が小惑星に向かって降下していく場合(上記のフェーズの後に行われる)を模した状況についても同様の実験を行い、開発したアルゴリズムが動作することを確認した。 さらに発展課題として、上記のような応用場面で登場する時系列データ(上記の場合には画像列)を効率よく解析する諸手法についての研究も行った。これらの方法は、画像列のような時系列データを解析して情報を得るうえで効率的な前処理手法として活用できると期待される。
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