研究課題/領域番号 |
15J09201
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
石井 みどり 東京大学, 理学系研究科, 特別研究員(DC2)
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研究期間 (年度) |
2015-04-24 – 2017-03-31
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キーワード | ゴルジ体 / 酵母 / 膜交通 / ゴルジ体槽成熟 |
研究実績の概要 |
これまでの研究ではCOPIタンパク質の変異体やオーキシン誘導デグロン法を用いてCOPIの機能阻害を行い、ゴルジ体のシスからメディアル槽への成熟においてCOPIの機能が重要であることを明らかにしてきた。これまで用いてきた膜貫通領域を持つシス槽およびメディアル槽のゴルジ体マーカータンパク質に加え、今回新たにトランス槽マーカータンパク質として膜貫通領域を持つSys1pを導入した。オーキシン誘導デグロン法によってCOPIタンパク質の機能阻害を行い観察した結果、シス槽からトランス槽への槽成熟は観察されなかった。この結果からCOPIタンパク質による輸送はゴルジ体の早い時期の常在タンパク質の輸送だけではなく成熟の進んだ後の時期においてもはたらいていることが示唆された。 ヒトの培養細胞を用いた実験からCOPI被覆小胞の標的膜における繋留複合体であるConserved Oligomeric Golgi (COG) は異なるサブユニットは異なる時期のゴルジ槽から形成される小胞に局在するSNAREタンパク質をリクルートすることが示され、小胞の選別輸送における機能が予想されている。ヒトの細胞において明らかとなったCOG複合体のサブユニットごとの機能の違いは酵母細胞において酵母細胞においてどのようになっているのか研究している。COPI被覆小胞のゴルジ体へのターゲッティングにおけるCOGタンパク質の役割を調べるために8つあるCOGサブユニットをそれぞれ1つずつミトコンドリアに異所的に発現する系の構築を行った。各COGタンパク質がミトコンドリアへ特異的に局在する様子を確認することができた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
・COPIタンパク質のゴルジ体における機能についての結果をまとめ、論文を作製している。 ・COPI小胞の繋留に関わるCOGタンパク質がサブユニットごとに異なる機能を持つかどうかを調べるためにCOGタンパク質をミトコンドリア外膜に異所的に発現させる系を作製した。様々なミトコンドリア局在配列を比較し、ゴルジ体や細胞の生育に影響がない系を確立した。
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今後の研究の推進方策 |
・COPI小胞が細胞内でどのように標的膜へと選択的に輸送されているのか調べるために、COG複合体のサブユニットをミトコンドリア外膜に異所的に発現させ、集まってくるタンパク質について調べる。 ・COPIタンパク質の機能阻害がゴルジ体のダイナミクスを著しく阻害した原因を明らかにするため、COPI被覆小胞のの出芽、ゴルジ体膜からのくびり切り、標的膜への繋留、融合など各ステップに関わるCOPI以外のタンパク質について、機能を阻害しゴルジ体の動態への影響を調べる。 ・クラスリン被覆小胞を形成するタンパク質もCOPIと同様にエンドソームなどのオルガネラの動態に関わるかどうかオーキシン誘導デグロン法を用いてタンパク質の機能を阻害し観察を行う。
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