研究課題/領域番号 |
15J09240
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
諫川 輝之 東京大学, 総合文化研究科, 特別研究員(PD)
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研究期間 (年度) |
2015-04-24 – 2018-03-31
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キーワード | 津波 / 環境認知 / リスク認知 / 避難行動 / 意思決定 / 防潮堤 / 東日本大震災 / ロジスティック回帰分析 |
研究実績の概要 |
本研究は、沿岸地域の物理的環境が住民の環境認知に及ぼす影響を明らかにし、それを考慮した津波避難対策のあり方を示すことを目的としている。採用1年目の今年度は以下の内容を実施した。 1. 東日本大震災における避難行動および被災状況に関する分析 まず、東日本大震災の教訓をふまえた津波避難対策を検討するために、沿岸各地における避難行動や被災状況に関する文献調査および現地調査を行なった。それと合わせて、2011年に千葉県御宿町で実施した避難行動に関するアンケートデータを用いた追加分析を行ない、津波からの避難実施の有無を説明するロジスティック回帰モデルを構築した。その結果、いた場所や環境による影響が大きいことが定量的に明らかになり、環境認知に焦点を当てる本研究の意義が再確認された。また、関連研究として、福島県いわき市において仮設住宅団地の入居者に対する震災後の様子や現在の生活についての調査に参画し、避難後の生活についての検討にも加わった。
2. 沿岸地域の物理的環境に関する予備調査と本調査の準備 南海トラフ巨大地震により津波浸水が予想される地域を中心に、地形図や航空写真、ハザードマップを収集するとともに、調査候補地における視察を行ない、物理的特徴と想定される被害を把握した。これをふまえて研究計画を再検討し、まず防潮堤の存在が環境認知や避難行動に及ぼす影響を明らかにするための本調査を実施することとした。静岡県内の各自治体の堤防整備状況に関する資料収集やヒアリング調査を行なって津波対策の現状や課題を抽出した上で、津波対策の防潮堤が一部に設置されている沼津市静浦地区において、自治会関係者等へのヒアリングを実施し、これまでの経緯や取り組みについて確認した。上記の結果をふまえて、仮説の吟味を行ない、津波に対する認識および環境認知傾向を把握するためのアンケート調査の実施準備を行なった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初計画していた環境認知傾向把握のためのスケッチマップ調査は、来年度実施するアンケート調査と合わせて実施することとし、その替わり東日本大震災の被災地にも足を運び、避難行動や被災状況に関する十分な情報収集を行った。それをふまえて、南海トラフ巨大地震への対策が求められる各地で現地調査やヒアリングを重ねて調査計画を練り上げ、対象地を選定して、アンケート調査を実施できる段階にまで進めることできた。よって、おおむね順調に進展していると言える。
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今後の研究の推進方策 |
1.で得られた成果について、国内外の学会で発表し、論文にまとめる。2.で述べたアンケート調査については、次年度初頭に実施し、防潮堤の存在が環境認知や避難行動に及ぼす影響を考察して論文にまとめる。また、道路網の形状が環境認知や避難行動に及ぼす影響に関する関する調査も行う。これらの成果をもとに、危険な避難行動につながりやすい環境認知のパターンを体系的にまとめ、有効な津波避難対策の提案を行なう予定である。
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