研究実績の概要 |
本研究の二年度目となる本年度はさらなる動作温度の低減による連続運転が可能なシードフリーMHD発電の実現を目指して,高周波電磁界による作動流体の予備電離のプラズマ流体挙動の検討と,予備電離に必要とされる電力と発電出力のバランスの検討を行った。 高周波電磁界による作動流体の予備電離は,連続運転が可能な2500K程度の作動流体中の電子の温度のみを高周波電磁界により増加させで作動流体を電離させるものであり,作動流体の温度は2500K程度のままであることから連続運転が可能となる。このとき高周波電磁界を作動流体に印加する方法には様々あるが,本研究では従来のシードプラズマ方式でも採用されていた誘導コイルによる高周波電磁界の印加について,シードフリーMHD発電の適用の検討を行った。この検討は実験並びに数値解析の2つの方法で平行して行うことにより,実験による実現象の解明と,数値解析による実験では計測の難しいパラメータを含めた詳細な現象の考察に取り組んだ。その結果,予備電離希ガスプラズマMHD発電における予備電離において低定格電圧の電源によりH-mode放電を実現する上ではコイル幅は狭く設計されるべきであることがわかり,予備電離を亜音速流中と超音速流中のいずれで行うかについては境界層の影響に伴うプラズマの生成位置ならびに力率や斜め衝撃波の影響を考慮すべきであることが示された。 ディスク形状ホール形発電機による連続運転が可能なシードフリーMHD発電において必要とされる予備電離電力と発電出力のバランスの数値的検討から,予備電離希ガスプラズマMHD発電においてノズルによる自励的ジュール加熱による電離度増幅を加えることで低い予備電離電力で高い発電性能(E.E.=25%,I.E.=65%)が実現できることが示された。
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