研究課題/領域番号 |
15J09583
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研究機関 | 東京大学 |
特別研究員 |
横山 光 東京大学, 総合文化研究科, 特別研究員(DC1)
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研究期間 (年度) |
2015-04-24 – 2018-03-31
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キーワード | 歩行 / 筋シナジー / 速度 |
研究実績の概要 |
本研究はヒトの移動運動(歩行走行)の速度を制御する神経機構の特徴解明を目的としている。本年度は以下2点を実施した。
1)ヒトの移動運動の神経機構を評価するために、複数の筋から取得した筋活動に対し統計的手法(非負値行列因子分解)を用いることにより歩行の基本動作パターンを制御する神経モジュールを抽出した。遅い歩行から速い走行(0.3 m/sから5.0 m/s)における筋活動を計測し、47の速度帯に分割し、モジュールを抽出した。さらに、各速度で抽出されたモジュールの特徴を定量的に比較するためにクラスター分析を用いた。結果、走行と歩行のモジュールで大きなクラスター分かれ、さらに遅い歩行と速い歩行もサブクラスターとして分割された。このことにより、歩行と走行はもちろん、遅い歩行と速い歩行の間においても筋制御様式が異なることが明らかとなった。
2) 上記の速度上昇に伴う歩行神経機構の遷移に関するメカニズムを明らかにするために今後は脳波による皮質活動の測定を予定している。本年度においてはそのための予備実験を行った。従来、脳波計測中に被験者が動くと著しいアーチファクト(ノイズ)が混入するため、歩行動作中の脳波計測は行われてこなかった。しかしながら、近年考案された脳波から動作由来のアーチファクト成分のみを統計的に取り除く解析アルゴリズムを応用することで、歩行中でも脳波計測が可能であることを確認できた。また、解析プログラム作成、実験環境の整備、被験者のリクルート網の構築など研究の下準備を行った。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
歩行、走行の筋活動制御様式の移り変わり関しては研究をほぼ完了した。クラスター分析とギャップ統計値を用いたクラスタ数判断方法により、懸念であった広範囲の速度で抽出されたモジュール間の比較を実施した。また、今後の脳波計を用いた研究のための予備実験は完了し、来年度初めから本実験が遂行可能である。
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今後の研究の推進方策 |
当初の計画においては、次の研究予定として運動学的な手法により神経モジュールの特徴を掘り下げる予定であったが、より直接的に神経活動を計測できる脳波計を用いた研究への変更を考えている。従来、脳波計測中に被験者が動くと著しいアーチファクト(ノイズ)が混入するため、歩行動作中の脳波計測は行われてこなかった。しかしながら、独立成分分析をもちいて動作由来のアーチファクト成分を統計的に取り除く解析アルゴリズムにより、歩行中でも脳波計測が可能であることの確認がとれている。今後は、上記の実験方法を用いて、まずはヒトの移動運動における皮質の関わりを検討していく予定である。また実験の進捗状況に応じて、移動運動速度に依存した皮質活動の変化についても実験を予定している。
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