微小気泡は患者の体内に注入すると血流と共に拡散してしまい,疾患部へ届く微小気泡は極めて少ないため,微小気泡を目的部位まで誘導する必要がある.そこで,本研究室ではこれまでに人工血管中において微小気泡の任意血管への誘導を行ってきた.しかし先行研究では,表面の形状により音場形状が定まる単板振動子を用いており,音場の形状や位置を時空間的に変更することに装置側が対応しておらず,微小気泡の動態に適した音場形成の検討が不十分であった.そのため本研究では,2次元アレイトランスデューサを用いて音場の時空間分割照射を行い,効率的な微小気泡の動態制御ならびに新たな制御技術の開発を目指す. まず,超音波音場の時空間分割として2つの焦点の位相を反転し,その2焦点の形成位置と形成周期によって定められた焦点の移動速度を6 ~ 360 msの範囲で変化させ微小気泡の誘導を行った.その結果,移動速度を流速と同じオーダーに設定すると誘導率が高くなり約69%となることを示した. 次に微小気泡の3次元動態制御として,単板振動子と2次元アレイトランスデューサの同時使用を行い,微小気泡の挙動を2台のハイスピードカメラを用いて2方向からの光学観測を行った.その結果,流路の厚みと幅方向共に約40%の微小気泡を任意の位置を通過させることができ,微小気泡の3次元動態制御が行えたことを示した. 最後に,実際の動物を用いた微小気泡の誘導を行った.麻酔によって眠らせたウサギを専用のベッドに寝かせ,微小気泡を注入後誘導用音波によって誘導される微小気泡の様子を超音波画像で観測した.その結果,実際の血管内においても微小気泡を誘導できることを確認した.
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