研究課題/領域番号 |
15J09601
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
丸鶴 雄平 東京大学, 医科学研究所, 特別研究員(PD)
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研究期間 (年度) |
2015-04-24 – 2018-03-31
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キーワード | ウイルス / 免疫回避 |
研究実績の概要 |
(i)293FT細胞にインフラマソームの構成因子、Pro-IL-1b、及びHSV-1がコードするタンパク質73種類の発現プラスミドをそれぞれトランスフェクションし、培養上清中のIL-1b を測定した結果、AIM2インフラマソームを特異的に阻害するHSV-1タンパク質VPXを同定した。(ii)293FT細胞においてVPXはAIM2の過剰発現によるフィラメント状の凝集形成を阻害した。 (iii)VPXはHSV-1感染細胞内でAIM2と相互作用した。(iv) AIM2+/+及び AIM2-/-マウス由来BMDMにHSV-1 VPX欠損株を感染させた結果、VPX欠損株の感染によるカスパーゼ-1の活性化、及びIL-1bの放出はAIM2依存的であった。その一方で、HSV-1野生株の感染ではどちらの細胞においてもカスパーゼー1の活性化、及びIL-1b の放出は認められなかった。(v) HSV-1 VPX欠損株をAIM2+/+及び AIM2-/-マウスの脳内に接種し、ウイルス増殖を比較した結果、AIM2-/-マウスは感染4日目の脳内ウイルス力価が有意に上昇していた。その一方で野生株の感染においてはAIM2+/+及び AIM2-/-マウス脳内におけるウイルス力価に有意な差は認められなかった。 これらの結果からHSV-1はVPXによってAIM2インフラマソームを阻害し、宿主免疫を回避することによって、in vivoにおける効率的な増殖能を持つことが示唆された。これらの結果はHSVに対するワクチンを開発する上で重要な知見である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
2015年度にはHSV-1がコードするAIM2インフラマソーム抑制因子を、プラスミドを用いたスクリーニングによって同定し、そのノックアウトウイルスの感染細胞はIL-1bの培養上清放出量が顕著に上昇することが明らかになった。 2016年度にはAIM2KOマウスを用いて、HSV-1によるAIM2インフラマソームの阻害がウイルスの生体内における増殖に大きく寄与していることを証明することができた。
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今後の研究の推進方策 |
今後はHSV-1がコードするAIM2インフラマソーム阻害因子のノックアウトウイルスが、ワクチン候補株となり得るのかどうかを確かめていく。
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