研究課題/領域番号 |
15J09748
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研究機関 | 京都工芸繊維大学 |
研究代表者 |
嶋路 耕平 京都工芸繊維大学, 工芸科学研究科, 特別研究員(DC2)
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研究期間 (年度) |
2015-04-24 – 2017-03-31
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キーワード | エピジェネティクス / 飢餓ストレス / G9a / ショウジョウバエ / オートファジー |
研究実績の概要 |
ショウジョウバエヒストンメチル基転移酵素であるdG9aの欠失変異系統では飢餓状態への耐性が著しく低下することが先行研究によりわかっていた。ストレス応答過程でエピジェネティックな制御が果たす役割を解析した研究はこれまであまり行われていない。飢餓状態等のストレス応答過程でdG9aが担う役割を明らかにすることができれば、エピジェネティクスとストレス応答という両研究を繋ぐことができ、エピジェネティックな制御が持つ新しい生物学的意義を明らかにすることができる。本研究では、dG9aが飢餓条件下で果たす役割を効率的に明らかにするために、飢餓ストレス応答過程においてdG9aが発現調節する遺伝子プロファイルと代謝経路を同定すること、および、様々なストレス応答過程でdG9aやその他のエピジェネティクス因子が個体の生存に寄与するかどうかを検証することを計画していた。 本年度の研究では、飢餓ストレス応答過程においてdG9aが発現調節する遺伝子プロファイルと代謝経路を同定することができた。その結果として、dG9a欠失変異系統のショウジョウバエではいくつかのオートファジー関連遺伝子の発現が異常となり、オートファジーによるタンパク質のリサイクル能力が低下して貯蓄エネルギーの枯渇が急速に早まっていたことが明らかとなった。また、dG9aは酸化ストレスや熱ストレスといった限定条件下では個体の生存には寄与せず、飢餓ストレス限定的に個体の生存に寄与することが明らかとなった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
当初の計画では、本年度の研究でdG9aが調節する遺伝子プロファイルと代謝経路を同定し、次年度でその結果をもとにして、dG9aが調節する生体機構を明らかにする計画だった。しかし本年度の研究では、dG9aが調節する遺伝子プロファイルと代謝経路を同定することができ、さらに、dG9a欠失変異系統のショウジョウバエではいくつかのオートファジー関連遺伝子の発現が異常となり、オートファジーによるタンパク質のリサイクル能力が低下して貯蓄エネルギーの枯渇が急速に早まっていることを明らかにすることができたため、当初の計画以上に進展しているといえる。
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今後の研究の推進方策 |
飢餓応答過程でdG9aはいくつかのオートファジー関連遺伝子の発現を調節していることはわかったが、その調節メカニズムは未だ不明である。今後の研究では、dG9aの直接の標的遺伝子やシグナル伝達経路を、RT-qPCRやクロマチン免疫沈降法等の解析を用いて明らかにする。
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