研究課題/領域番号 |
15J09751
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
山本 絵里子 東京大学, 総合文化研究科, 特別研究員(PD)
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研究期間 (年度) |
2015-04-24 – 2018-03-31
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キーワード | ダンス / 非言語的コミュニケーション / 母子相互作用 / 動作学習 / 発達 |
研究実績の概要 |
本年度は、ダンスの根底にある非言語的コミュニケーションの発達的変遷の解明に向けて、2つの実験を実施した。そして、母親の対乳児動作のリズム構造や誇張動作の特徴(実験1)、及び、母親の対乳児動作が乳幼児の反応の時間的接近性にもとづいて発生すること(実験2)を明らかにした。 実験1:母親の対乳児動作は対成人動作とは異なる時間的特徴を持つことを明らかにした。これまで、養育者の対乳児「発話」の特徴として報告されているリズム構造が、対乳児「動作」においても同様に存在するかは検討されていない。そこで、乳児と成人に対する母親の教示動作(たいこの玩具の使い方)を比較した。その結果、対成人条件よりも対乳児条件で、実演時間が長い傾向、そして、打叩間隔の分散が大きい傾向が確認された。すなわち、母親の対乳児動作は対成人動作とは異なる時間的特徴を持つ可能性が示唆された。 実験2:養育者は、乳幼児の反応の時間的特性をもとに対乳児動作を発生させていることを明らかにした。先行研究は、母親が乳幼児に対して特徴的な教示動作を示すこと、そして、その動作が子どもの学習を促進することを報告している。しかし、その発生要因は十分に検討されていない。そこで、ダブルテレビパラダイムを用いて、乳幼児の母親に対する反応の時間的特性を操作し、それらの反応の変化が母親の対乳児動作に与える影響を検討した。その結果、母親の反応に対して乳幼児の反応が時間的に遅れる状況では、母親の手の振り上げ動作が大きくなった。すなわち、母親は乳幼児の反応の時間的特性をもとに対乳児動作を発生させていることが示唆された。 これらの知見はダンスの根底にある非言語的コミュニケーションの発達を明らかにするだけではなく、言語発達などと深い関連を持つと考えられ大変意義深い。今後、母親の対乳児動作の特徴と乳幼児のダンス学習との関連を検討する。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本年度は研究計画に従い、ダンスの根底にある非言語的コミュニケーションの発達的変遷の解明に向けて、2つの実験を実施した。そして、母親の対乳児動作のリズム構造や誇張動作の特徴(実験1)、及び、母親の対乳児動作が乳幼児の反応の時間的接近性に基づいて発生すること(実験2)を明らかにした。 1年目では二者間の脳活動の同時計測を実施するには至らなかった。しかし、1年目では、乳幼児の非言語的コミュニケーションの根底となる動作系列の認知の解明に向けた実験環境(動作測定システムとNIRSシステムの同期測定が可能な環境)を構築し、そして、予備実験を実施した。現在のシステムを発展させることによって、二者間の脳活動の同時計測は実施可能である。 上記の理由により、申請者はおおむね順調に進展していると報告した。
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今後の研究の推進方策 |
本年度は計画に従い、おおむね順調に計画を遂行することができた。今後も研究計画にもとづき実験を進めていく予定である。特に、2年目では1年目に構築した実験環境(動作測定システムとNIRSシステムの同期測定が可能な環境)を発展させて、母親の対乳児動作の特徴と乳幼児のダンス学習との関連を行動レベルと脳レベルで検討する予定である。 また、本年度、研究を遂行していく中で、ダンスの根底にある非言語的コミュニケーションの発達的変遷の解明するためには、乳児の動作系列の学習機構を明らかにすることが必要であると認識した。そこで、今後は研究計画内の実験とともに、乳児の動作系列の学習機構に関する実験も実施していく予定である。
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