研究課題/領域番号 |
15J09864
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
永田 基樹 東京大学, 情報理工学系研究科, 特別研究員(DC2)
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研究期間 (年度) |
2015-04-24 – 2017-03-31
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キーワード | 予兆検出 / 電力系統 / 複雑ネットワーク / ならし効果 / ドミナントグループ |
研究実績の概要 |
再生可能エネルギーが系統に大量導入された際、供給量の変動による送電系統への影響を最小限にする上で、送電系統が不安定化するタイミングを予測することは非常に重要である。送電系統に適した不安定化の予兆検出の手法を構築し、その手法を系統運用に適用して実際の送電系統で不安定化を防止することを目指し、研究を行った。 まず、系統が不安定化する際、特に不安定化に寄与するノードの特定を行った。その特定結果に基づき、系統の不安定化の予兆を検出できることを数値的に示した。既存の電力系統の予兆検出手法である、クープマンモード分解を用いた手法との比較実験を行った結果、クープマンモード分解を用いた手法と比べて、変化を早い段階から検出できることが明らかになった。実際の系統のデータでは、場合によっては不安定化の予兆の検出が行えないこともあり、検出方法を発展させていく必要がある。 この研究結果は、査読付きプロシーディングにまとめ、国際学会で発表した。 また、再生可能エネルギーの大きな特徴である「ならし効果」が、系統の不安定化にどのような影響を与えるかについて明らかにした。ならし効果とは、異なる地点間の発電量の変動が、相関性が低いことにより相殺される効果のことである。ならし効果が効くほど、系統の不安定化が起こりにくいことを数値実験により示した。また、再生可能エネルギーのならし効果の度合いを測る指標を構築し、この指標が系統の不安定化に密接に関係していることを示した。この研究結果は、査読付き論文誌に提出済で、現在審査待ちである。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
ドミナントグループの特定が実施できた。また、安定度の算出で特に重要になる性質である「ならし効果」に着目し、不安定性への影響を算出できた。そして、その結果を当初予定より早く論文誌やプロシーディングにまとめることができたのがよかった。一方、不安定化指標の閾値の特定は現在も進行中であり、これを継続して進めていく。
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今後の研究の推進方策 |
引き続き、不安定化指標の閾値の特定を行う。これにより、送電系統に適した予兆検出の手法構築を完成させる。 また、当初の予定通り、予兆検出手法を制御へ応用し、不安定化を防止する手法を構築する。
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