本技術で用いる、トゲオキヒオドシエビ由来ルシフェラーゼNanoLucのPCA法であるNanoBitのゼニゴケでの機能を確認するため、ポジティブコントロールのモデル実験としてホモダイマーを形成するMXMTタンパク質、ゼニゴケ由来青色光受容体フォトトロピン(MpPHOT) 相互作用を用いて検証を行った。それぞれのタンパク質とLgBitまたはSmBitが融合するようなコンストラクトを作成し 、形質転換ゼニゴケを作出、発光解析を行ったところ、非常に弱い発光しか検出できなかった。このことから、ルシフェラーゼを用いたPCA法は適さないと考えられ、GFPを用いたPCA法であるBiFC法に切り替えることとした。蛍光タンパク質は植物で有効であるsfGFPを用い、NanoBitの場合と同様に、MXMT、MpPHOTタンパク質を用い、それぞれのタンパク質とNGFPまたはCGFPが融合するようなコンストラクトを作成し 、無性芽を用いたアガートラップ法により同時に二重形質転換した。作出した形質転換ゼニゴケを蛍光顕微鏡で観察したところ、GFP蛍光を持つ細胞を観察できた。そのため、スクリーニングにはsfGFPを用いたBiFC法が有効であると考えられる。 ゼニゴケの形質転換法(アガートラップ法)の改良では、形質転換体の選抜に用いる抗生物質の比較を行った。BC3-38株由来無性芽を用いたアガートラップ法では、ハイグロマイシンおよびクロルスルフロンが効率的に選抜可能な抗生物質であることがわかった。また、無性芽を用いたアガートラップ法で有効であった共存培養時のパラフィルムの使用と暗処理を胞子、葉状体切片を材料にしたアガートラップ法に応用させた。胞子を用いた場合、パラフィルムが有効であったが、葉状体切片を用いた場合では、どちらの改良点も適さないことがわかった。
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