研究課題/領域番号 |
15J10000
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研究機関 | 総合研究大学院大学 |
研究代表者 |
長谷川 克 総合研究大学院大学, 先導科学研究科, 特別研究員(PD)
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研究期間 (年度) |
2015-04-24 – 2018-03-31
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キーワード | 雛擬態 / 装飾 / 性選択 / 好み |
研究実績の概要 |
1年目は「個体群内の関係および個体差」について調べた。個体群内での雛擬態と装飾の関係は充分なサンプル数が集まったため、論文化し、2016年2月にEthology誌に受理、出版された。論文では、装飾という性選択形質の発現に応じて雛擬態への投資が調節されていると示すことができた。 また、雛擬態行動の「種間での関係」分析に先駆け、形態形質を用いた系統種間比較も行なった。沓掛展之先生の指導のもと、ツバメ属(Hirundo)の系統を用いて解析したところ、本属の特徴である2つの装飾、尾羽と羽色の発現が独立に、異なる選択圧のもとで進化したことが明らかになった。この発見は2016年年頭にEcology and Evolution誌において受理・出版された。 1年目に予定していたもうひとつのテーマ、「生体内でのホルモンを介した機械的連鎖」については、日本大学酒井秀嗣先生の指導・協力のもと、2016年1月に血漿中のホルモン(テストステロン)レベルを測定することができた。現在、ホルモンレベルと雛擬態及び装飾の関係について初年度のデータをまとめており、2016年内での論文化を目指している。 これまでの進展を踏まえて、2016年4月からの2年目には当初予定していたとおり、「個体群間の関係」について主に焦点を当てて研究を進めていく。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
初年度に予定していた「個体群内の関係および個体差」は論文化してEthology誌に発表することができた。「種間での関係」に先駆けた系統種間比較による装飾の進化の論文もEcology and Evolution誌に発表することができ、現在は雛擬態の種間比較に向けて準備を進めている。「生体内でのホルモンを介した機械的連鎖」は分析まで終了し、あとは原稿化して投稿できる状況となっている。
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今後の研究の推進方策 |
今後は当初の計画に則り「個体群間の関係」を調べていくことを予定している。また、初年度に引き続き、ホルモンを介した機械的連鎖の論文化、また、雛擬態行動の系統比較に向けて準備を進めていく。
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