研究課題
曲面の写像類群とは,その曲面の自己微分同相写像のアイソトピー類からなる群である.本年度は,研究目的や研究計画に記載した,ハンドル体群のある部分群に関する研究と向き付け不可能曲面の写像類群に関する研究を行った.特に,以下の2つの成果を得た.(1)有向3次元ハンドル体の境界となる連結なコンパクト有向曲面を考える.その曲面の写像類群は,自然にその曲面の整係数1次ホモロジー群に作用する.この作用の核をTorelli群と呼ぶ.Johnson準同型と呼ばれる,Johnsonによって定義されたTorelli群を定義域とする準同型写像がある.このJohnson準同型の核をJohnson核と呼ぶ.本年度は,昨年度行ったTorelli群のハンドル体部分群に関する研究を発展させる為,Johnson核とハンドル体群の共通部分であるJohnson核のハンドル体部分群の生成系に関する研究を行った.その結果,結論には至らなかったものの,Torelli群のハンドル体部分群のJohnson準同型による像を生成するようなHBP-mapの組を構成する事が出来た.(2)向き付け不可能曲面の写像類群はDehn twistとcrosscap slideと呼ばれる元たちで生成される事がLickorishによって示されている.写像類群の元fをDehn twistとcrosscap slideの積で書き表したものをfのDehn twist-crosscap slide表示と呼ぶ.もし,fの位数がnであった場合,fのn乗が単位元となる関係式が得られる為,有限位数写像のDehn twist-crosscap slide表示を求める事は,Dehn twistとcrosscap slideの間の関係式を理解する上で重要である.本年度は,いくつかの位数2の元に対するDehn twist-crosscap slide表示を求めた.
29年度が最終年度であるため、記入しない。
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すべて 雑誌論文 (2件) (うち査読あり 2件) 学会発表 (5件) (うち国際学会 3件、 招待講演 5件)
Journal of Knot Theory and Its Ramifications
巻: 26 ページ: 1750049~1750049
10.1142/S0218216517500493
Osaka Journal of Mathematics
巻: 54 ページ: 457~474