研究実績の概要 |
初年度に研究員が樹立・報告した、BRGSK マウスにおいては、既存の免疫不全マウスと比較して、ヒト骨髄球系細胞の大幅な正着効率の改善を認めたが、現時点で慢性骨髄性疾患の再構築には至っていない。次年度には、更なる改良としてhuman SIRPA knock-in mouse を作製した。Human SIRPA を導入したBRGhS (C57BL/6.Rag2nullIl2rgnullhuman-Sirpa) マウスにおいては、脾臓や末梢血でのヒト造血再構築が大幅に改善された。最終年度は、これまでのBRGhSマウスとBRGSKマウスを交配し、BRGhSKマウスを作製した。現在は、BRGhSKマウスにヒト慢性骨髄性疾患の再構築を行なっているところであるが、疾患の特性上、その解析には長期観察が必要であり、詳細な解析結果を得るには至っていない。また、BRGhSKマウスは、優れたヒト骨髄球系細胞の再構築能を示しており、これまで困難であった、ヒト赤血球造血再構築も並行して解析している。 本研究員採用期間中に、研究者は米国に研究留学し、ゲノム改変技術であるCRISPR/Cas9を用いて骨髄球系悪性腫瘍の遺伝子プロファイリングを行った。このプロファイリング結果から、急性骨髄性白血病に対する新規治療標的分子を見出した。さらに、これまで作成した新規免疫不全マウスを用いて、その分子阻害薬の効果をin vivoで示すことに成功し、”Genome-wide CRISPR-Cas9 Screen Identifies Leukemia-Specific Dependence on a Pre-mRNA Metabolic Pathway Regulated by DCPS. Yamauchi T. et. al., Cancer Cell. 2018 Mar.”として報告した。
|