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2015 年度 実績報告書

ナノグラフェンの選択的修飾による物性制御法の開発

研究課題

研究課題/領域番号 15J10147
研究機関名古屋大学

研究代表者

小田 一磨  名古屋大学, 工学研究科, 特別研究員(DC2)

研究期間 (年度) 2015-04-24 – 2017-03-31
キーワードグラフェン / 量子ドット / 脱炭酸 / 発光
研究実績の概要

グラフェン量子ドット(GQD)はナノオーダーサイズのグラフェンであり、発光特性を示すなどバルク状グラフェンとは異なる性質をもつため、近年注目されている。GQDは一般的に酸化グラフェンを原料とし、水熱還元や強酸処理などを施すことで合成される。酸化グラフェンやGQDはその表面や末端部分にエポキシ基やカルボキシ基などの多数の酸素官能基を有するため、一般的な有機溶媒には溶解せずその応用法は限られる。一方、有機合成分野においては遷移金属触媒反応による官能基化反応の開発がめざましく、アリールカルボン酸に対して遷移金属触媒を作用させることでカップリングする反応が報告されている。そこで酸化グラフェンの末端部分に存在するカルボキシ基に着目し、遷移金属触媒によるアリール化を試みた。改良ハマーズ法によって作成した酸化グラフェンに対して、NMP/キノリン混合溶媒中、アリールブロマイドとの反応させたのち、分液処理、GPC精製によってサンプルを得た。得られたサンプルはアセトンやクロロホルムなどの有機溶媒に高い溶解性を示した。またサンプル中には非発光性の成分と発光性の成分が存在することを見いだした。また反応させるアリール基の種類を変えることで、サンプルの発光波長・発光量子収率は大きく変化することを見いだした。得られたサンプルの構造解析はXPS測定、FT-IR測定、ラマン分光測定、原子間力顕微鏡観察、透過型電子顕微鏡観察を用いて行った。XPS測定、FT-IR測定ではアリール基の存在、および溶媒として用いたNMPがサンプル中に存在することを明らかにした。AFM測定により大きさ約30 nm、厚み約3 nmであることを明らかにした。TEM測定では明確な格子状模様を確認した。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

現在までに、酸化グラフェンに対する脱炭酸カップリングによって有機溶媒に可溶なグラフェン量子ドットを得ることに成功している。また反応させるアリールハライドの種類によって発光特性が変化することを見いだしている。さらに得られたサンプル中に発光成分と非発光成分が存在することをみいだしている。現在のところ発光特性変化の原因については明らかになっておらず、今後その解明を試みる。

今後の研究の推進方策

1.酸化グラフェンの反応後、GPC精製によって発光性サンプルと非発光性サンプルの違いを解明するため、DLS,AFMを用いてサンプルのサイズ・厚みの違いを測定する。
2.TG/DTA測定によって、減少質量を測定し、アリール基の導入量の解明を試みる。
3. グラフェン以外の他の炭素材料についても、同様のカップリング反応を試み、反応を適応範囲を広げるとともに、新たな機能性炭素材料開発へとつなげる。

  • 研究成果

    (7件)

すべて 2016 2015

すべて 雑誌論文 (1件) (うち査読あり 1件) 学会発表 (6件)

  • [雑誌論文] Fully-Substituted 1,3-Butadienes as π-Conjugated Linkers between Pyrenes2016

    • 著者名/発表者名
      Kazuma Oda, Satoru Hiroto, Daisuke Sakamaki, Shu Seki, Hiroshi Shinokubo
    • 雑誌名

      Chemistry Letters

      巻: 45 ページ: 1

    • DOI

      10.1246/cl.151181

    • 査読あり
  • [学会発表] 脱炭酸的カップリングによるグラフェン量子ドットの可溶化と発光色の制御,2016

    • 著者名/発表者名
      小田一磨、廣戸聡、忍久保洋
    • 学会等名
      日本化学会第96春季年会
    • 発表場所
      同志社大学
    • 年月日
      2016-03-24 – 2016-03-27
  • [学会発表] 脱炭酸的カップリングによるグラフェン量子ドットの可溶化と発光色の制御,2016

    • 著者名/発表者名
      小田一磨、廣戸聡、忍久保洋
    • 学会等名
      第63回応用物理学会春季学術講演会
    • 発表場所
      東京工業大学
    • 年月日
      2016-03-19 – 2016-03-22
  • [学会発表] 脱炭酸的アリール化によるグラフェン量子ドットの可溶化と発光色の制御2015

    • 著者名/発表者名
      小田一磨、廣戸聡、忍久保洋
    • 学会等名
      第5回酸化グラフェンシンポジウム
    • 発表場所
      岡山大学
    • 年月日
      2015-12-11 – 2015-12-12
  • [学会発表] 脱炭酸的アリール化によるグラフェン量子ドットの可溶化と発光色の制御2015

    • 著者名/発表者名
      小田一磨、廣戸聡、忍久保洋
    • 学会等名
      第26回基礎有機化学討論会
    • 発表場所
      愛媛大学
    • 年月日
      2015-09-24 – 2015-09-26
  • [学会発表] Pyrenyl Substituted Butadienes2015

    • 著者名/発表者名
      Kazuma Oda, Satoru Hiroto, Daisuke Sakamaki, Shu Seki, Hiroshi Shinokubo
    • 学会等名
      16th International Symposium on Novel Aromatic Compounds
    • 発表場所
      スペイン
    • 年月日
      2015-07-05 – 2015-07-10
  • [学会発表] Butadiene-bridged pyrene dimers: model molecules of bilayer graphene2015

    • 著者名/発表者名
      Kazuma Oda, Satoru Hiroto, Daisuke Sakamaki, Shu Seki, Hiroshi Shinokubo
    • 学会等名
      The Sixteenth International Conference on the Science and Application of Nanotubes
    • 発表場所
      名古屋大学
    • 年月日
      2015-06-28 – 2015-07-03

URL: 

公開日: 2016-12-27  

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