平成28年度は、「タンパク質細胞内局在化経路に基づいた糖鎖修飾分布の解析」を行い、有用な要素を明らかにしたうえで、「タンパク質O型糖鎖修飾の糖種判別法の開発」を行った。 [A]「タンパク質細胞内局在経路に基づいた糖鎖修飾分布の解析」 O型糖鎖修飾を受けている糖タンパク質について、細胞内局在・糖鎖修飾情報をもとに、細胞内での局在化経路および糖種に応じて分類した。シグナルペプチドもしくは膜貫通領域を有する分泌型・シグナルアンカー型、あるいはその両方を有する膜貫通型の糖タンパク質は、主としてFuc・Xyl・GalNAcの修飾が見られた。一方、細胞内在型タンパク質においては、修飾されている糖種がすべてGlcNAcであることが明らかとなった。本項目では、GlcNAc修飾タンパク質の細胞内局在化経路の特異性が明らかになり、糖種判別のための強力なパラメータになることが示された。 [B]「タンパク質O型糖鎖修飾の糖種判別法の開発」 上記[A]から、細胞内局在経路(シグナルペプチド・膜貫通領域の有無)をパラメータに加えることにより、GlcNAc修飾位置はGalNAc修飾位置から完全に分離することが可能である。したがって、まず細胞内局在経路(シグナルペプチド・膜貫通領域の有無)によってGlcNAcとFuc・Xyl・GalNAcの2グループに分類し、Fuc・Xyl・GalNAc内においてPSSMからスコアを算出することにより、高精度にO型糖鎖修飾糖種を判別することが可能となった。本項目では、細胞内局在化経路を加えた新規O型糖種判別法を提案した。 > 上記[A]を国際学会(2016年9月 ECCB)にてポスター発表した。また、上記[A]と[B]を併せて国際学会(2016年10月 ICFD)にて、プロシーディングスを投稿し口頭発表を行った。また、論文投稿中である。
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