研究実績の概要 |
5員環および7員環を有するアイソメリックグラフェンナノリボンの合成を目指し、非対称ジベンゾ[a,e]ペンタレンの新規合成法の開発、および5員環および7員環を有するアイソメリックグラフェンナノリボンの部分構造の構築に取り組んだ。 まずは、ロジウム触媒を用いた縫合反応による非対称ジベンゾ[a,e]ペンタレンの合成を検討した。本手法により、電子供与基および電子求引基を有するドナー/アクセプター型ジベンゾ[a,e]ペンタレンを含む様々な置換基を有する非対称ジベンゾ[a,e]ペンタレンや異なる複素環が縮環したジベンゾ[a,e]ペンタレン等の様々な誘導体の合成が可能となった。 続いて、ポリ(ジベンゾ[a,e]ペンタレン-5,10-ジイル)のモデル化合物として5,5’-ビス(ジベンゾ[a,e]ペンタレニル)を合成し、平面化を検討した。ポリ(ジベンゾ[a,e]ペンタレン-5,10-ジイル)の平面化によって、5員環と7員環を有するアイソメリックグラフェンナノリボンが得られると期待される。ロジウム触媒を用いた縫合反応および脱シリルヨウ素化により、クロロ基とヨード基を適切な位置にもつジベンゾペンタレン誘導体を合成した。得られた誘導体のホモカップリングによって得られた、クロロ基を持つ5,5’-ビス(ジベンゾ[a,e]ペンタレニル)をパラジウム錯体と反応させたところ、望みの平面化された生成物がNMR収率0.36%で得られた。生成物の構造は1H NMRおよびMALDI-TOF-MSによって決定した。これにより、5員環と7員環を有するアイソメリックグラフェンナノリボンの部分骨格が安定に存在できることが確かめられた。本知見はポリ(ジベンゾ[a,e]ペンタレン-5,10-ジイル)がアイソメリックグラフェンナノリボンの前駆体となる可能性を示唆している。
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