画素内時間圧縮型マルチアパーチャ超高速イメージセンサ(以下、MA高速センサ)を用いたToF距離画像撮影を実験により実証した。2015年度で既に1つのパスのみを考慮した実証を行ったが,本年度はマルチパス光が発生する環境下での実験を行った.実験では測定対象物(鏡)と超高速カメラの間にアクリル板を置くことで,物体反射光とは別にアクリル板で光が反射しマルチパス光となる.超高速カメラとしては,本研究で開発したマルチアパーチャ方式の超高速イメージセンサを用いた.距離分解能0.75m,距離レンジ24mで,物体反射光とマルチパス光の分離を実現した.本実験結果は” Optics & Photonics Japan 2017”にて発表した. 続いて像面マルチアパーチャ方式画素内時間圧縮型超高速イメージセンサ(以下、FPMA高速センサ)のシミュレーション検証を行った。FPMA高速センサでは、MA高速センサと異なりシングルアパーチャで超高速撮影が可能である。シミュレーション検証により、主に最適な画素ブロック構成の検討を行った。その結果,画素内に多くの蓄積部数を持つほど、多くのフレーム数を高い再構成精度で撮影できることが明らかになった. FPMA高速センサの試作を行った。センサは2×2のサブ画素で構成する画素ブロックを持ち,各サブ画素は任意のシャッタパターンで発生電荷を高速変調する.画素には試験的に2種類のLEFMを用い,それぞれ3つか4つの蓄積部を持つ.シミュレーション上では,どちらも1 ns以下の時間分解能が実現できた.また,シャッタパターンを生成する回路も新たに設計した.こちらはシミュレーション上で最大1 GHz (1 Gfps相当)以上の速度で動作した.本試作センサにより,1 Gfps以上の超高速撮影が実現できることが期待される.
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