研究課題
本年度は透過型電子顕微鏡用に開発した超伝導空洞を高精度制御するシステムの開発を行った。これはFPGAベースで作動するもので、既にKEK-cERLで開発されたものを本研究用に最適化したものである。制御試験は超伝導空洞の縦測定試験と共に行った。超伝導空洞は2つの共振モードを同時に励振できるが、今回始めて2つの共振モードを同時に高精度制御することが確認された。この制御精度は、ビーム・ダイナミクス・シミュレーションから導出された目標を達成し、超伝導空洞を採用した電子顕微鏡の実現に大きく近づいた。電子銃においては鉛遮蔽を製作し、ビーム試験に向けた準備を本格化させた。これと同時にカソード励起用レーザーの位相ノイズ測定のための環境を整えた。本研究の発表は国際加速器学会、顕微鏡学会、物理学会 (物性)にて行い、様々な分野の研究者と交流し有益なコメントを得た。
2: おおむね順調に進展している
当初の計画では超伝導空洞を電子顕微鏡試作機に搭載するためのクライオスタットの設計・製作が先に行われる予定だった。しかし、KEK-cERLで使用されていた高周波制御システムを本研究に適用できる運びとなり、こちらを優先しておこなった。高周波制御システムの本研究への適用はスムーズに行われ、アナログ回路の開発も滞りなく進行した。その結果、2つの共振モードを同時に高精度制御できる成果が得られた。
今後は電子銃のビーム試験、超伝導空洞のクライオスタット設計・製作を行い、超伝導空洞を採用した透過型電子顕微鏡の試作機を製作することが目標である。ビーム試験については遮蔽製作を今年度に行ったので、今後放射線検査を経て許可が得られ次第実施となる。クライオスタットについては共同研究者と協力して、クライオスタット本体及び上流の電子銃、下流部の収束・診断系と合わせた設計を行う。
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International Particle Accelerator Conference 2015 Proceedings
巻: - ページ: 294-296
Proceedings of the 12th Asia Pacific Physics Conference, JPS Conf. Proc.
巻: - ページ: -
10.7566/JPSCP.1.014023