本研究は、マヨラナ束縛状態を用いたトポロジカル量子演算を中心として、量子論の基礎的な問題へ拡張した。物性物理学分野で研究されているマヨラナ粒子は、トポロジカル超伝導体のエッジ状態として現れる、基底状態でもエンタングルメントが見られる。トポロジカル量子演算がトポロジカル系で実現するものとして、そのような系にあるエンタングルメントをより深く理解するために、まずエンタングルメント自身の理解を深める必要がある。本研究はエンタグルメントの理解を深めることを目的にして、エンタングルメントの由来を説明する原理を提案している。 本研究は、Clauser-Horne-Shimony-Holt (CHSH)の不等式を注目して量子相関を着目する。CHSH不等式は、隠れ変数を想定する古典論と想定しない量子論の二通りに量子創刊の上限を与える。しかしながら、その上限が数学的に導くことが出来ても、物理的な理解は未だに明らかだとは言えない。光速より速い伝搬を禁じるする光速一定の原理のみを仮定すると、数学的に(幾何学的に)知られている上限を超えることが可能になる。つまり、相対論的な因果律だけでは量子相関の上限を理解することが出来ない。 この問題を解決するために、本研究では「情報不可弁別性」と言った原理を提案している。情報不可弁別性では、情報単位である量子ビットが区別できないときに相関が生まれると仮定し、その状態を情報不可弁別という。この考え方を使うと、知られている量子相関の上限が導かれる。さらに、量子論を一般化する一般確率論にも同じ原理を適応することもできる。その場合にも、情報不可弁別性の下で得られる相関が量子論の相関と同じになる。つまり、量子論よりも一般的な理論があっても、得られる情報単位の最大相関が量子論で得られるものと等しくなる。
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