研究課題/領域番号 |
15J10687
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研究機関 | 奈良先端科学技術大学院大学 |
研究代表者 |
須永 圭紀 奈良先端科学技術大学院大学, 物質創成科学研究科, 特別研究員(DC2)
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研究期間 (年度) |
2015-04-24 – 2017-03-31
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キーワード | 脳機能イメージング / 埋植型デバイス / 蛍光イメージング |
研究実績の概要 |
本研究は,自由行動中マウス脳深部神経活動の複数部位同時イメージングを可能とする,超小型低侵襲CMOSイメージングデバイス・システムの実現を目的としている.本年度の研究目標は下記3点であった. 1.複数部位同時イメージングを可能とする微小センサ設計 2.蛍光励起不均一性の改善 3.Ca2+イメージング環境の構築と動物実験 まず目標1について,0.45 mm × 1.25 mmの微小センサの新規設計を行った.この新センサを用いることにより,脳の複数部位へ複数センサを埋植することによる脳へのダメージを低減することが期待される.続いて目標2について,本年度は後に述べる微弱なフラビン蛋白蛍光を観察するために,さらに蛍光光学系の改善を行い,励起光除去性能を向上させた埋植型イメージングデバイスを開発した.励起光漏れによる撮像領域の減少を抑えることを狙い,黒色の吸収色素を主成分とする遮光層をイメージセンサとLEDの間に形成した.励起光漏れの比較評価実験を行ったところ,励起光漏れを従来の10%以下にまで低減することに成功し圧倒的にイメージングに使用可能な撮像領域が広がった.最後に目標3について,本研究で開発を進めてきた緑色蛍光観察用埋植型マウス前方に設置したモニターから出力される視覚刺激前後の蛍光強度を測定したところ,視覚刺激に伴うフラビン蛋白の蛍光強度変化の観察に成功した. 以上,本年度の目標として掲げていた3点についての進捗を研究実施状況の報告とする.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
研究計画通り,順調に進展している.1年目の研究目標であった, 1.複数部位同時イメージングを可能とする微小センサ設計 2.蛍光励起不均一性の改善 3.Ca2+イメージング環境の構築と動物実験 についてどれも順調に成果を挙げることができている.具体的には,1本の学術論文,2件の国際学会,2件の国内学会で発表を行い,1件の国際学会ではOutstanding Student Poster Awardを受賞している.
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今後の研究の推進方策 |
研究計画通り,システム評価と動物実験を中心に研究を進める.具体的には,1年目に行ったイメージングシステムの評価を行う.1年目の実験結果を元に,画像処理プログラム,デバイスの実装方法,フィルタ性能の最適化を行う.動物実験については,マウス脳深部複数部位同時計測システムを用いて,自由行動下学習実験を行う.特定の行動を行った時のみ報酬を与えるといった行動学習実験を行い,マウスの行動と海馬や扁桃体の脳神経活動の様子を観察する.実験に使用したマウスから脳スライスを作成し,免疫染色を行い,脳組織への侵襲性・生体適合性の検証を行う.
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