研究課題
本年度は、MEG II実験に用いる陽電子タイミングカウンターのうち1/4を作成・インストールし、動作確認および性能評価を行った。陽電子タイミングカウンターはシンチレーターと半導体光検出器を用いた小型カウンターを512個ならべたものである。本年度前半には、この小型カウンター130個の大量生産を行った。シンチレーターと半導体光検出器それぞれの性能評価を行ってから組み立てを行い、作成した小型カウンターすべてについて70-80 ピコ秒の時間分解能を達成した。本年度後半には、陽電子タイミングカウンターのインストールと実際のミューオンビームを用いた試験を行い時間分解能の評価を行った。小型カウンターを支持構造体に設置し、超電導磁石の中へインストールすることに成功した。小型カウンター一つ一つのシグナルチェックも行い、全カウンターが正常に動作することが確認できた。読み出し回路については、ノイズやデッドチャンネルが多くあるという問題が見つかっており、現在改良を進めている。データ取得は、実際にMEG II実験で用いられる静止ミューオンレート、7×10^7 μ/secで行われた。ミューオンの通常崩壊から放出される陽電子を磁場で曲げ、陽電子タイミングカウンターに当て、実際に再構成したヒット情報からその様子を確認した。陽電子のヒット時間再構成も行い、2つのカウンターで60-80 ピコ秒の時間分解能を達成した。予測される時間分解能より5-10%の悪化が見られるが、読み出し回路のノイズによる影響と見られ今後改善される。来年度5月には、読み出し回路を直した状態でもう一度同じ測定を行い、より詳細な調査をする予定である。
2: おおむね順調に進展している
読み出し回路に問題は見つかったが、陽電子タイミングカウンターの実機作成は順調に進み、適切に動作することが確認できた。また、実際のミューオンビームでのデータ取得にも成功し、時間解析も行うことができた。
読み出し回路の問題により時間分解能に若干の悪化が見られたため5月に同じセットアップで改良を加えた読み出し回路を用い、より正確な陽電子の時間測定を行う。同時に残りの小型カウンターの作成も行い、データ取得後に全カウンターのインストールを行う。また、飛跡検出器やガンマ線測定器のインストールも完了し、エンジニアリングランで動作確認・性能評価を行い、物理ランを開始する予定である。
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すべて 雑誌論文 (5件) (うち国際共著 5件、 査読あり 5件、 オープンアクセス 3件) 学会発表 (3件) (うち国際学会 1件) 備考 (1件)
Proceedings of Science
巻: PhotoDet2015 ページ: 印刷中
The European Physical Journal C
巻: 76 (3) ページ: 108
10.1140/epjc/s10052-016-3947-6
巻: FPCP2015 ページ: 064
Nuclear Instruments and Methods in Physics Research Section A: Accelerators, Spectrometers, Detectors and Associated Equipment
巻: 印刷中 ページ: 印刷中
10.1016/j.nima.2015.11.022
10.1016/j.nima.2015.11.023
http://meg.icepp.s.u-tokyo.ac.jp/index.html