特別研究員の第2年度(最終年度)としてMPD(magnetoplasmadynamic)スラスタの研究に取り組み,主に IEEE (Institute of Electrical and Electronic Engineers) Transaction of Plasma Scienceに1編の論文を投稿するなどの成果を残した. 具体的には,詳細な静電シースモデルを数値シミュレーションモデルに取り入れ,プラズマの電磁流体モデルおよび電極の熱モデルを接続,連成することで,スラスタ内でのプラズマと電極の相互作用をはじめて2次元数値シミュレーションにより検討した.シミュレーション結果と既往の実験結果との比較検討から,構築したシミュレーションモデルが妥当であることを確認し,これに基づいてMPDスラスタのスケーリング効果について議論を行った. 上述のスケール効果を踏まえ,より高性能な大電力MPDスラスタの定常作動を,実験室環境で模擬するためのスケールダウン機の設計製作に着手した.最終的には,実験室規模の真空設備で,熱平衡状態に達したスラスタの作動試験を行い,スケール効果を併せて考慮することで,実使用に供されるフルスケールスラスタの設計則の検証を目指す予定であったが,年度途中での身分変更(特別研究員辞退)により当初計画は全うできなかったものの,数値モデルを検証するための実験装置の製作が完了した.
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