研究課題
利他行動と社会的ストレスの間の関連を検討するために大学生を対象とした実験を行った。まず、社会的ストレス反応を生じると考えられる刺激(目の絵)と、非社会的ストレス反応を生じると考えられる刺激(蜘蛛の絵)を呈示した場合で、利他行動への影響が異なるのかどうかを検討した(実験1)。実験1では、目の絵を呈示した条件では利他行動の促進が生じた一方で、蜘蛛の絵を呈示した条件では利他行動の促進は生じなかった。また、実験前後のストレス変化(事後 - 事前)と利他行動の関係において、目の絵を呈示した条件においてのみ正の関連性が示された。実験1の結果から、利他行動の促進は“社会的”な刺激に伴うストレス反応によって生じていることが示唆された。この結果を受け、利他行動とストレス反応の関係における認知的処理の役割について検討するための実験2を行った。実験2では、実験1と同様の目の絵を閾下呈示した場合に利他行動の促進が生じるのかを検討した。その結果、閾下で呈示した場合には実験1のような目の絵による利他行動の促進は生じず、利他行動とストレス反応との関連も示されなかった。これらの実験結果からは、利他行動の促進において、社会的な刺激を認識することで生じる認知的処理、および随伴するストレス反応が重要であることが示唆される。研究2の研究結果は国際学会にて発表を行った(研究発表7)。また、優れた学術研究としての評価を受けた(研究発表8)。現在英語論文として投稿するために執筆中である。
28年度が最終年度であるため、記入しない。
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