本研究では,数学授業での協同過程を通じて個人の理解が深まるメカニズムを,関連づける概念(数学的概念と日常的事象,数学的概念間),根拠とする知識(数学的,日常的,両方),相互作用のプロセス,という観点から明らかにすることを目的とした。本年度は,授業での協同過程を通じた個人の数学的理解の深まりをより多面的に検討するため,研究Ⅰ~Ⅲをもとに,算数授業に焦点を当てた以下の4つの研究(研究Ⅳ~Ⅶ)を進めた。 研究Ⅳ(既習内容に関する既有知識の活用に着目し,グループによるディスカッション活動を採用した『問題解決学習』の効果の実証的検証),および,研究Ⅴ(日常的な既有知識の活用に着目し,分数に関する理解について,研究Ⅰ~Ⅳをもとにした算数授業での協同過程のデザインとその効果の実証的検証)は,成果を『教授学習心理学研究』にそれぞれ投稿し,採択された。 研究Ⅵ(図形の求積方法に関する理解について,ICTを活用した算数授業での協同過程のデザインとその効果の実証的検証),および,研究Ⅶ(割合に関する理解について,日常的な既有知識の活用に着目した算数授業での協同過程のデザインとその効果の実証的検証,単元の導入:研究Ⅶ-1と学年末:研究Ⅶ-2)は,実験授業を実施し,得られた成果の投稿準備をそれぞれ進めた(執筆中)。 研究Ⅳ~Ⅶに関連して,算数科のカリキュラムに関する研究として,算数科教科書の問いの構成に関する研究を行うため,中央教育研究所の教科書研究奨励金に応募し,採択された。 前年度投稿中の論文に関して,研究Ⅲは,『教授学習心理学研究』に投稿し,採択された。研究Ⅱは,『日本数学教育学会数学教育学論究』に再投稿した(査読中)。研究Ⅲに関連して行った,中学校の数学教科書の問いの構成に関する研究は,『日本教育工学会論文誌』に投稿するとともに(査読中),『日本教育心理学会第59回総会』において発表した。
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