研究課題/領域番号 |
15J11103
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研究機関 | 名古屋大学 |
研究代表者 |
津布久 将史 名古屋大学, 経済学研究科, 特別研究員(PD)
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研究期間 (年度) |
2015-04-24 – 2017-03-31
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キーワード | 輸送費用 / 貿易協定 / 自発的協調 |
研究実績の概要 |
本研究課題の目的は、グローバル化によって国内の経済構造が変化した場合に、政府の貿易政策をめぐる一連の経済的帰結を理論的かつ、実証的に明らかにすることである。特にグローバル化によって輸送費用が低下した場合、政府に対してどのような政策転換が求められるのか、その結果貿易構造、国際間での企業の分布、貿易協定の自発的締結へのインセンティブにどのような影響を与えるのかを分析する。貿易協定の締結に関する本研究課題は、世界各国に共通する課題であり、完成に至ればグローバル化が進行してゆく現代社会の将来を見据えた示唆を与えることができる。また本研究はモデルのシンプルさから、仮定を追加し分析対象を発展途上国等に焦点を絞ることで、その国特有の問題を取り扱うことも可能である。 このような目的の下で本年度は、輸送費用の存在する経済モデルを構築しその経済的帰結を明らかにし、輸送費用が低下した場合、政府の設定する貿易政策や貿易協定の自発的締結の可能性に対してどのような影響を与えるのかを理論的に明らかにすることを試みた。こうした、理論モデルの構築および、そこから導かれる経済的帰結は次年度に実施予定の実証研究における説得力のある仮説を構築する上で必要不可欠である。 3国からなる経済を想定した理論モデル分析の結果、政府が関税率を決定する際のインセンティブ構造と輸送費用の関係性について明らかにすることができた。この分析の中で、各国の政府が他の2国に対して独自に関税を設定する場合や、最恵国原則や自由貿易協定に従って関税率を設定した場合についての比較を行った。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本年度は国際間での貿易協定締結のインセンティブ構造を明らかにするモデルを構築し、そこからグローバル化の影響について理論的に明らかにした。具体的にはグローバル化の指標として国際間での輸送費用の存在する理論モデルを構築し、輸送費用が低下した場合に各国の政府の関税を決定するインセンティブに対してどのような影響を与えるのか、を明らかにした。この結果は、既に研究成果として論文にまとめられている。さらにこの論文を基礎とし、自由貿易協定の自発的締結に関するインセンティブについても一定の成果が得られており、それらの成果についてはいくつかの学会報告するに至っている。このことから、次年度の実証研究に向けての理論仮説の構築が期待通り達成することができた。したがって本年度の研究計画については問題なく遂行されたと言える。
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今後の研究の推進方策 |
2015年度、輸送費用を明示的にモデルに取り入れた国際貿易モデルの構築し、輸送費用と政府の実施する貿易政策との関係性について理論的に明らかにすることができた。2016年度は実証研究を実施するにあたって、2015年度に得られた理論的な結論もとに実証可能なモデル構築および事象研究の実施を試みる。現時点では、特段大きな計画変更は予定していない。
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