研究課題
本年度は、以下の2つを主に行った。1. 新規磁気光学分光手法の開発本研究では多元系の磁性体に対して、サブピコ秒領域のスピンダイナミクスを元素選択的に追跡が可能な新規の磁気光学測定手法を開発している。本年度は本手法を大強度の自由電子レーザー(Free Electron Laser: FEL)と組み合わせることで、遷移金属磁性超薄膜から構成されるヘテロ構造の磁気ダイナミクスを捉えることを試みた。本研究では、我が国初の軟X線域のFELのビームラインSACLA SXFEL (BL1)で最初の利用ユーザーとして実験を遂行した。その結果、自ら成膜した磁性ヘテロ構造に対して、サブピコ秒領域の光誘起の磁気ダイナミクスの追跡に成功した。さらに、応用上重要な、電圧印可下での光誘起の磁気ダイナミクス測定も行った。本研究により、本手法はサブピコ秒領域を元素選択的に追跡できること、そしてサブナノメートルの面直磁化を有する磁性層に対しても十分な感度を持つこと、電圧印可下での磁気ダイナミクス測定が可能であることを実証した。2. 軟X線領域での非線形分光非線形光学は、実験室系の可視光レーザーを中心に研究がされてきた。その中でも2次の非線形効果の第二次高調波発生(Second Harmonic Generation: SHG)は、空間反転対称性を欠いた系でのみ起こり、表面・界面研究に広く適用されてきた。一方、軟X線域のSHG観測は、これまで大強度レーザーが存在しなかったため、報告されてこなかった。本研究では、新光源であるFELを使用して軟X線域のSHG観測を試みた。その結果、空間反転対称性の破れた結晶に対して、SHG信号の検出に成功した。
28年度が最終年度であるため、記入しない。
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