研究課題/領域番号 |
15J11177
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
吉田 哲也 東京大学, 大学院農学生命科学研究科, 特別研究員(DC1)
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研究期間 (年度) |
2015-04-24 – 2018-03-31
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キーワード | 植物ウイルス / 抵抗性遺伝子 |
研究実績の概要 |
植物ウイルスは農業生産上大きな被害をもたらすが、ウイルスは宿主の代謝系に大きく依存した感染環を有するため、化学農薬による防除は困難である。このため、植物の保有する抵抗性遺伝子によるウイルス病防除が現在広く利用されている。従来利用されてきた植物ウイルス抵抗性遺伝子には、植物に導入すると生育を阻害する、標的ウイルスのスペクトラムが限定的である等の問題点が存在し、新規な抵抗性遺伝子の利用が求められている。本研究では、このような問題点を克服しうる抵抗性遺伝子候補として、シロイヌナズナのレクチン遺伝子群に注目し、レクチン型新規抵抗性遺伝子の単離と抵抗性の分子機構解明を目的として研究を進めている。 今年度は、ハイスループットなウイルス抵抗性レクチン遺伝子のスクリーニングに向け、ウイルスおよびレクチン遺伝子の発現用コンストラクトの作成を行った。複数のウイルス感染植物サンプルを用いて、多数のウイルス全長塩基配列を決定し、ウイルスゲノム全長をウイルス発現用プラスミドにクローニングした。この過程で、我が国で初検出されたポテックスウイルスの全ゲノム配列を明らかにし、アグロバクテリウムを利用した複数のウイルスの効率的接種系を初めて構築した。また、複数のレクチン遺伝子を植物由来cDNAをもとに増幅後プラスミドにクローニングし、当該レクチンタンパク質の発現を確認した。今後は、構築したコンストラクトを用いた抵抗性レクチン遺伝子の探索と抵抗性の分子機構解明に向けたレクチン-ウイルス因子間相互作用の解析等を行う予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
今年度は、ウイルス抵抗性レクチン遺伝子の探索に向け、ウイルスおよびレクチン遺伝子発現用コンストラクトを作出する予定であった。複数のウイルス全ゲノム配列およびレクチン遺伝子をクローニングできたことから、順調に進展しているものと考えている。
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今後の研究の推進方策 |
今後は、今年度開発したウイルスゲノムおよびレクチン遺伝子発現用のコンストラクトを用いることで、抵抗性レクチン遺伝子-標的ウイルスの組み合わせをスクリーニングする予定である。また、抵抗性レクチン遺伝子とウイルス因子の間の相互作用解析等を行い、抵抗性の分子機構の解析を進める予定である。
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