今後の研究の推進方策 |
今後の研究の推進方針としては2つある。1つ目は、27年度に軌道に乗せた東京管理職ユニオンの助け合いのデータを継続して収集することである。もうひとつは、経験的データを分析する手法を確立することである。 まず、1つ目に関してであるが、これは継続的にデータ収集をすることでサンプル数を増やすことや個人が組合に加入してからの完全な履歴を収集することを目的としている。東京管理職ユニオンの組合員の平均的な在籍期間は約1年から2年である。そのため、個人が加入してから脱退するまでに、何回争議行動を行い、何人の人を助け、何人の人に助けられたのか、という完全な行動履歴を取得するには1年から2年の歳月を要する。データの収集を始めたのが平成26年10月からなので、完全な個人の行動履歴を収集するには、28年度も継続して収集する必要がある。このデータを収集することで、組合員がいつ、どのような人を助けたのかが明らかになり、流動的な社会関係における助け合いの実態を明らかにすることができるようになる。 2つ目は、収集したデータを正確に分析することを目的としている。収集したデータは、従来の研究とは異なった特殊な構造をしている。そのために計量経済学やネットワーク分析に関する最新の分析手法を習得する必要がある。例えば、multilevel logistic regression, lagged logistic regression, quadratic assignment procedure, temporal exponential random graph model, stochastic actor oriented modelなどの手法が挙げられる。特に、変数間の内生性を十分に考慮した分析を行うための方法を用いる必要がある。可能であればデータや目的に即した分析手法を開発し、研究をさらに前進させることを予定している。
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