薬剤とタンパク質の相互作用を予測することは創薬研究において重要な技術の1つである。薬剤は、一般に複数のタンパク質と相互作用することが知られており、予期せぬタンパク質との相互作用は副作用を引き起こす可能性がある。本研究では、機械学習や統計モデル等の技術を用いることで、薬剤とタンパク質の相互作用を効率的に予測するシステムの開発を行ってきた。 本年度(平成29年度)の研究実績は、(1)最先端手法であるベイズ最適化手法GP-MIを用いることで、薬剤-タンパク質間相互作用予測モデルの学習速度を改善し、その内容を「Efficient hyperparameter optimization by using Bayesian optimization for drug-target interaction prediction」(Ban+2017)にまとめ、国際会議「IEEE ICCABS 2017」で発表した。(2)ドッキングシミュレーションの性能を改善する方式「Multiple Grid Arrangement」(Ban+2018)を提案し、その内容を「Multiple Grid Arrangement Improves Ligand Docking with Unknown Binding Sites: Application to the Inverse Docking Problem」(Ban+2017)にまとめ、学会誌「Computational Biology and Chemistry」に投稿し採択された。(3)昨年度から研究を続けていた統計モデルによる予測手法の予測精度の改善を達成したことである。最先端手法であるNRLMF(Liu+2016)の予測結果を分析することで、モデルの問題点を特定し、予測精度の改善に成功した。現在、論文を執筆している。
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