本研究の目的は、すばる望遠鏡の近赤外分光装置FMOSを用いて、赤方偏移z=1.4(宇宙誕生後約60億年後)の銀河の三次元分布を観測し、赤方偏移歪み効果を検出することで一般相対論の検証を行うことである(FastSoundプロジェクト)。昨年度までにこのサーベイについての詳細をまとめた論文と、一般相対論の検証結果を出版し、本研究の主目的は達成された。 平成28年度は、サーベイで得られたデータを活用した新たな研究を行った。FastSoundで得られた銀河の3次元分布とCFHTLenS可視サーベイによる銀河形状の情報を用いて、大規模構造における銀河形状の指向性を調べた。これはintrinsic alignment (IA) と呼ばれ、銀河形成や進化の理論モデルに制限を与えると同時に、弱重力レンズサーベイに系統誤差を与える可能性がある。銀河位置と銀河形状の相関関数を測定することで、z=1.4の青い星形成銀河についてIAは統計的エラーの範囲でゼロであることがわかった。この結果は、これまでのz=0.6までの測定と同じであり、晩期型銀河については広い赤方偏移の範囲において、IAは存在しないままであることを示すものである。早期型銀河については低赤方偏移で明らかなIAのシグナルが発見されているため、本結果は、銀河の種類によって形成や進化の過程が異なることを直接示す重要なものである。同時に、晩期型銀河の割合が増える、今後の弱重力レンズサーベイでのIAによる系統誤差も一定以内であることが分かった。
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