研究課題/領域番号 |
15J11506
|
研究機関 | 政策研究大学院大学 |
研究代表者 |
吉川 愛子 政策研究大学院大学, 政策研究科, 特別研究員(DC2)
|
研究期間 (年度) |
2015-04-24 – 2017-03-31
|
キーワード | 移住 / 労働者送金 / 開発 / 家計 / バングラデシュ |
研究実績の概要 |
4月: 昨年度作成した家計調査データベースを使い、初期の準備的データ分析(国内外への出稼ぎ状況、送金受給状況、総家計に占める受給家計の割合、受給家計の時系列な属性の推計)を行い、主指導、副指導教授に報告・発表した。また、関連文献のレビューを継続して行った。 5-8月:出産、育児のため研究中断 9-10月(研究再開準備期間):2014年の家計調査のデータが入手可能となり、データベースの更新作業を行うとともに、上記の準備的データ分析を更新する。日本経済学会の秋学会に参加し、関連セッションを傍聴する。 10-12月:週1回のチュートリアルセッション(指導教授と博士課程学生のセッション)を履修。隔週で研究進捗状況を報告、および関連文献レビューの発表を行う。また、更新したデータベースを使い、送金のインパクトに関する分析を行う。定量、操作変数を使ったモデルを組み、推計を行った。学内博士課程研究プログラムセミナーで研究を進捗発表(11月6日)。しかしながら、送金のインパクト分析について、受給家計の属性の変化が時系列的に大きくみられること、調査年次に送金を受給していなくても、調査年以外で受給していることが多くあり、モデルの再構築が必要であることが判明。よって、送金のインパクトを正確に推計するための初期ステップとして、受給家計の属性を詳しく分析することから始めることにした。2014年の追加サーベイの情報を使い、受給家計の属性の変化を見る分析を行う。 1-3月:受給家計の属性について時系列的に分析を行う。学内博士課程研究プログラムセミナーで研究を進捗発表。月2回のチュートリアルでの研究進捗発表や指導教授との個別指導受給家計の属性の時系列的分析に加え、属性を説明すると思われる労働者の職業選択や賃金の決定、送金額などに関する時系列的分析を行う。3月末で分析が一段落し、結果に基づいた論文執筆を開始した。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
今年度における研究の実施状況は、①5ヶ月の中断(出産・育児のため)をはさんだこと、②当初予定していた送金インパクトの推計方法が、使用するデータでは難しいことが、トライアルの後判明した、などの理由から、計画通り順調に進んだとはいえない。また9月にはバングラデシュへでの追加現地調査に参加予定であったが、育児との両立が当初の予想より難しく、断念することとなり、追加の情報収集ができなかった。
一方で、準備的段階の分析として予定していた送金受給家計の属性の分析については、2014年の最新情報を加えたデータセットを作成し、指導教授の下で様々なカテゴリー分析を多様なモデルで繰り返し粘り強く行うことで、その属性が時系列的にどのように変化してきたか、詳細に理解、実証することができてきていると考える。よって、研究計画通り、実質的な研究開始から7ヶ月(中断期間を除く)経った現時点(年度末)で、投稿論文(1本目)の核となるデータ分析ができつつあり、年度初めには投稿論文の執筆を開始する予定である。この準備的分析を綿密に行ったことで、本分析(投稿論文2本目に予定)につながる新たなアイディアも浮かび、今後の研究にも有益であった。
|
今後の研究の推進方策 |
研究計画の通り、本年度は昨年度行った計量分析の結果を投稿論文にまとめ、セミナーや学会で発表するとともに、国際学術雑誌へ投稿する。また計画2.本分析を進め、2本目の投稿論文を執筆しセミナーや学会での発表を目指す。また、2本の投稿論文を博士論文としてまとめ、12月をめどに提出をめざす。 博士課程研究で得られた結果を現地(バングラデシュ)で発表する機会を設ける。結果は、実務者向けのポリシーブリーフにまとめ、内外の開発援助実施機関(バングラデシュ政府、援助機関)などにも配布する。 昨年度に引き続き、国内外の学会に参加、関連文献、書籍の購読を通じて、最新の研究に触れるとともに、内外の研究者とのネットワーキングに努める。
|