研究課題
本年度は、円偏光発光(CPL)発現の新たなアプローチの確立に向け、誘起CPLの発現機構について詳細な研究を行ってきた。ナノ繊維状分子集合体が形成するキラル界面(キラルナノテンプレート)にアキラルな発光性分子を濃縮することにより、誘起CPLを発現させるという新たなアプローチの確立および発現機構の調査を行なった。本アプローチの特徴である、様々な組み合わせが可能であるという点を活かし、従来までの合成化学的アプローチでは困難であった系統的な調査に基づき、吸収及び発光における円偏光度(|gCD|および|glum|)の相関性を明らかにした。導き出したこの相関性から、①ナノテンプレートによる二次キラリティと、②発光性分子とキラルナノテンプレート間の強い静電相互作用によって、CPLの発現および強度の制御が可能となることを明らかにした。結果として有機化合物(溶液系)における最高値(|glum| = 0.102)の発現に成功している。本年度の研究成果は、化学分野において最高峰の学術雑誌の一つであるAngew. Chem. Int. Ed. 2017をはじめとし、学術論文2報および国内外の学会発表12件にて発表している。また、サンクトペテルブルグ(ロシア)で開催された国際学会12th Saint-Petersburg Conference of Young Scientists with international participation "Modern Problems of Polymer Science”において、Best poster presentation awardに選ばれる等,本年度の研究評価が高く評価されている。
28年度が最終年度であるため、記入しない。
すべて 2017 2016 その他
すべて 国際共同研究 (2件) 雑誌論文 (2件) (うち国際共著 2件、 査読あり 2件、 謝辞記載あり 1件) 学会発表 (12件) (うち国際学会 6件、 招待講演 3件) 備考 (1件)
Angewandte Chemie International Edition
巻: 56 ページ: 2989-2993
10.1002/anie.201612331
Nano Letters
巻: 16 ページ: 6411-6415
10.1021/acs.nanolett.6b02858
http://www.chem.kumamoto-u.ac.jp/~ihara/lab3/index-j.html