研究課題/領域番号 |
15J11589
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研究機関 | 政策研究大学院大学 |
研究代表者 |
村岡 里恵 政策研究大学院大学, 政策研究科, 特別研究員(PD)
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研究期間 (年度) |
2015-04-24 – 2018-03-31
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キーワード | 緑の革命 / アフリカ / 農業改革 / 農業技術 / 技術採用 / 技術普及 / 食料安全保障 / トウモロコシ |
研究実績の概要 |
本研究のテーマは、東アフリカの緑の革命の実現可能性に関する経済学的分析である。このテーマに基づき、平成27年度は以下のような研究を行った。 (1)"On the Possibility of a Maize Green Revolution in the Highlands of Kenya: An Assessment of Emerging Intensive Farming Systems"と題する論文が"In Pursuit of an African Green Revolution: Views from Rice and Maize Farmers’ Fields Kenya Maizeという本に掲載された。また、この内容を拡張し、より厳密な計量経済分析を加え大幅に修正した論文をセミナー、研究会などで発表した。 (2)ケニアで行われている集約的トウモロコシ農法の拡張可能性を探るため、ウガンダのトウモロコシ農家に農業生産に関するインタビュー調査を行った。このデータと、政策研究大学院大学が収集するウガンダのパネルデータを組み合わせ、データ分析を行った。 (3)"An African Green Revolution: Past Failures and Future Prospects"と題する論文を執筆した。この論文はJournal of African Economiesに投稿済みである。 (4)"Why African Rural Development Strategies Must Depend on Small Farms"と題する論文を執筆した。この論文はGlobal Food Securityという国際査読誌に投稿し、査読者から送られてきたコメントをもとに現在修正中である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本研究は、「東アフリカにおける「緑の革命」の実現可能性とその方策」を明らかにするものである。具体的には、「①東アフリカにおける新農業システムの定量的評価」、「②東アフリカにおける農業技術普及システムの分析」という2つの二つの課題について定量・定性的分析を行う。 ①に関しては、ケニアの集約的トウモロコシ農業システムの採用決定要因、農業生産性・収益性に与える影響を分析した論文を完成させ、国際査読誌に投稿した。また、同農業システムの外的妥当性検証のため、ウガンダにて農家に対するインタビュー調査を行った。この調査データと政策研究大学院大学が所蔵するウガンダのパネルデータを組み合わせ、現在分析中である。 ②に関しては文献検索を行い、また政策研究大学院大学が所蔵するケニア、ウガンダのパネルデータの分析を開始した。 上記に加え、"An African Green Revolution: Past Failures and Future Prospects"と題する論文を完成させ、国際査読誌に投稿した。この論文は、マクロデータを用いた記述統計、文献レビュー、ミクロレベルのケーススタディを用いて、アフリカで緑の革命を達成するにはどうすれば良いかを明らかににしたものである。さらに、"Why African Rural Development Strategies Must Depend on Small Farms”と題する論文を完成させ、国際査読誌に投稿した。この論文は、なぜ小規模農家の生産性向上がアフリカの農業生産性向上のために重要なのか、どうすれば小規模農家の生産性が向上するかを文献レビューやケーススタディを用いて明らかにしたものである。上記2つの研究は当初の計画にはなかったが、「東アフリカにおける「緑の革命」の実現可能性とその方策」という研究目的に合致する研究内容である。
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今後の研究の推進方策 |
研究①に関しては、引き続きウガンダのトウモロコシ集約農業システムの採用決定要因、その生産性、収益性に対する効果に関する分析を行い、論文を完成させる。また、ケニア、ウガンダのトウモロコシ集約農業システム研究と対比させるため、ミシガン州立大学農業食料資源経済学科食料安全保障プロジェクトが保持しているザンビアの家計調査データを用い、トウモロコシ集約農業システムに関する研究を行う。ザンビアで農家に対するインタビュー調査を行い、収集したデータをこの家計調査データに加え、ザンビアのトウモロコシ集約農業システムの採用決定要因、その生産性、収益性を計量経済学的に分析し、論文を完成させる。この二つの論文は完成次第、日本経済学会、日本農業経済学会、各大学が主宰するセミナーなどで積極的に発表し、改定に努める。得られたコメントをもとに適宜修正を加え、国際査読誌に投稿する。 研究②に関しては、政策研究大学院大学が所持するケニアのコミュニティ・家計調査データを基に農業普及と農業生産に関するデータ分析を継続するとともに、関連研究を参照し適切な計量分析方法を検討する。2017年度初頭に農業普及員へのインタビュー調査を実施することを予定しており、2017年度開始すぐに調査が行えるように準備を行う。
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