平成28年度では、不完全情報下のマッチング理論を主として、勉強と研究を進めてきた。具体的には、先行研究を購読し、特に、関数解析に関して勉強し、それを手段としてさらにモデルの定着化を行った。そうしたうえで、雑誌投稿のために、論文作成を行った。タイトルは“Collective Matching with Limited Pre-information and Information Cost”にした。今の段階では、モデルと論文の構成に関して、Penn StateのVijay Krishna先生とKalyan Chatterjee先生からコメントをもらい、修正中である。
また、産業政策と政府行為に関する研究分野では、2015年末に北京大学新構造経済学セミナーでの発表に基づき、新構造経済学センターと香港科技大学の王勇先生と連携しながら、政府の非合理性と学習能力、またこの学習能力が産業政策に与える影響をモデル化する研究を進めてきた。そして、研究成果を整理し、8月に同センターが主催したサマースクールに参加し、発表した。参加者から様々な意見とコメントをもらい、現段階では、そうした意見とコメントを整理している。そのうえで、発表内容に基づいて修正を行い、論文を書く予定である。10月に、Review of Economic Study誌に投稿した。
さらに、LSEのMa Debin先生と共同研究も成果を得た。この研究は、ゲーム理論を歴史研究に応用した研究であり、主に用いたモデルは世代重複モデルである。現段階では、タイトルを仮に“Why People Lie about History? Collective Deviation and Individual Deviation under OLG Model”にし、論文作成のために、Ma Debin先生とメールでやり取りをしている。
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