研究課題
本研究では,新規蛋白質材料の開発を目指し,細胞内蛋白質結晶と結晶溶解を利用した超分子構造体の新たな構築手法を確立した.細胞内蛋白質結晶は,細胞内で蛋白質分子が自発的に集積することで形成され,結晶内には特異な超分子構造が存在する.しかし,それらの超分子構造は結晶溶解により崩壊するため,溶液中で保持することは困難であった.そこで,蛋白質結晶の分子設計を行い,結晶溶解後も特異な超分子構造を溶液中で保持させ,新材料としての利用を目指した.本年度では,(1) 多角体と呼ばれる細胞内蛋白質結晶を利用し,結晶内特有のかご型構造体を切り出す手法を確立した.また,(2) 上記手法を他の蛋白質結晶にも適用し,昆虫細胞内で結晶化するTbCatB蛋白質を利用したフィラメント構造体の構築を試みた.(1) 多角体結晶内の特異なかご型構造体を溶液中へ切り出すために,初めにジスルフィド結合で単量体同士を架橋する変異体を設計し,昆虫細胞内で結晶化させた.続いて,得られた変異体結晶を酸化し,結晶内でジスルフィド結合を形成させた.その後,結晶を溶解することにより,かご型構造体を溶液中へ切り出した.透過型電子顕微鏡,分子間力顕微鏡により構造体を観察し,かご型構造体の構築を確認した.(2) TbCatB結晶内の特異なフィラメント構造体を溶液中へ切り出すために,初めに変異体設計と細胞内結晶化を行った.変異体結晶のX線結晶構造解析より,結晶内ジスルフィド結合による単量体同士の架橋が示された.続いて,変異体結晶を溶解し,結晶内特有のフィラメント構造体を溶液中へ切り出した.透過型電子顕微鏡により構造体を観察し,フィラメント構造体の構築を確認した.
29年度が最終年度であるため、記入しない。
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Chemical Communications
巻: 54 ページ: 1988-1991
10.1039/C7CC08689J